著者
高橋 立子
出版者
認知神経科学会
雑誌
認知神経科学 (ISSN:13444298)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.10-17, 2020

<p>【要旨】自閉スペクトラム症、注意欠陥多動症の発生にかかわる環境因子として早産が挙げられてから久しい。その発生率は、在胎週数が短くなるほど高いとされている。</p><p> 超早産児では、構造的、機能的にも正期産児とは異なる脳の成熟経過をとることが明らかとなる一方、学童期にいたった超早産児に特有の臨床像はpreterm behavioral phenotype と名付けられ、1)社会性に乏しく2)不注意で3)不安におちいりやすいとされる。本稿では、宮城県内で出生した出生体重1,250 g 未満児の長期予後を検討したpopulation-based のコホート研究の中から、PARS(広汎性発達障害日本自閉症評定尺度)の結果を紹介し、社会性に関する行動像を示した。自閉スペクトラム特性が高いが診断までには至らない、多数の"診断閾値以下群" の存在が明らかになった。超早産児では乳児期早期から周囲に関心があり、社会的微笑がみられ、視線もあいやすく、生来的な社会的関心の低さは認められなかった。しかし言語の発達は遅く、幼児後期にcatchup してくるものの、学童期には統語能力、語用面での問題があると推察された。限定的な興味、また反復的行動や執着がほとんどみられないことから、その"社会性の乏しさ" は自閉スペクトラム症の疾患概念から説明するよりも、言語発達-コミュニケーション機能の異常ととらえる方が良いのかもしれない。長期的な言語発達支援が望まれる。</p>

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@tos CiNii 論文 -  超早産児の発達の臨床像:── 自閉スペクトラム特性から考える発達特性と障害のはざま ── https://t.co/xmIQo1jKig
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