- 著者
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金城 秀俊
安慶名 信也
上里 迅
真栄田 裕行
鈴木 幹男
- 出版者
- 特定非営利活動法人 日本頭頸部外科学会
- 雑誌
- 頭頸部外科 (ISSN:1349581X)
- 巻号頁・発行日
- vol.30, no.1, pp.67-72, 2020
転移性甲状腺腫瘍は稀であり,特別な画像所見がないため術前に診断をつけることが難しい。われわれは腎細胞癌の甲状腺転移例を経験したので報告する。症例は55歳,女性。当科初診11年前に腎細胞癌により右腎摘出を受けた。受診9年前に膵頭部に再発し同部位を摘出された。受診3-4年前に右甲状腺腫大を認め増大傾向にあった。穿刺吸引細胞診で濾胞性腫瘍疑いの診断を受け,当科を受診した。甲状腺以外に頭頸部領域に腫瘍性病変を認めず,原発性甲状腺悪性腫瘍として葉峡切除術(右葉)+右気管傍郭清術を施行した。術後病理で腎細胞癌の転移と判明した。術後21か月で肺転移を認め追加治療中であるが,頭頸部には明らかな再発を認めていない。