著者
大場 孝裕
出版者
日本哺乳類学会
雑誌
哺乳類科学 (ISSN:0385437X)
巻号頁・発行日
vol.60, no.2, pp.335-340, 2020

<p>ニホンジカ捕獲強化の政策に伴い,わなによる捕獲数が増え,捕獲に占める割合も大きくなっている.わなの種類ごとの捕獲数はほとんど集計されていないが,箱わなや囲いわなに比べて安価で,1人で設置できる足くくりわなの使用が多いと推測される.捕獲具ごとの捕獲数の集計は,今後の課題である.足くくりわなによる捕獲は,ワイヤーロープで足を締め付ける.動物がわなに掛かってから,殺処分や放獣するまでの経過時間が長いことも多く,個体の損傷,ストレスが多い,アニマルウェルフェア上問題のある捕獲方法である.また,足くくりわなは,獣道に隠して設置し,荷重により作動するため,ニホンジカ以外の動物,特に大型哺乳類のクマ類,ニホンカモシカ,イノシシの意図しない錯誤捕獲を避けられない.実態把握のため,錯誤捕獲の報告を求めても,少なくとも処罰の対象となる条件が明確化されないと,正確な報告は期待できない.足くくりわな捕獲に伴う損傷とストレスの軽減,錯誤捕獲回避のための技術的改良に加え,足くくりわなに依存しないニホンジカ個体数管理技術の開発が必要である.</p>

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アニマルウェルフェアの観点からの足くくりわなに対する批判については、こちらの論文の抄録を参考に。くくりわなによる大型動物の捕獲は動物福祉に反するという批判の声は非常に高いので、捕獲者なら常識として知っておくべき。 ニホンジカ管理に伴う足くくりわな捕獲の課題 https://t.co/HvVtYdxFhZ

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