- 著者
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宮内 久光
- 出版者
- 公益社団法人 日本地理学会
- 雑誌
- 日本地理学会発表要旨集
- 巻号頁・発行日
- vol.2020, 2020
<p>本研究では,座間味島を対象地域として,観光事業所,特にマリンレジャー事業所の経営形態や事業状況を調査し,それらの結果を1997年調査以降の島を取り巻く環境の変化や経営者の現状評価や経営方針などと関連付けながら検討することを目的とする。2015年9月現在,座間味村公式HPには,座間味島にあるマリンレジャー事業者として39店が掲載されていた。このうち,調査時に営業をしていた34店の事業者に対して,アンケート調査を実施した(2015年9月〜10月)。回収したアンケート調査票は32店(有効回答率94.1%)であった。アンケート調査は全体集計とその考察のほかに,事業所設立年代別や,提供するマリンレジャーの種類別に集計を行い,グループ間の比較を行った。</p><p> 1997年調査時に座間味島には21店のダイビングサービスが立地していた。2015年調査ではそのうち19店が存続しており,事業の持続性は高い。また、1997年調査では,全事業所がスキューバダイビングのガイドサービスをしていたが,その後に開設された事業所の中には,ダイビングのガイドサービスをしない店が5店ある。2000年代以降,座間味島のマリンレジャー産業は,それまでのダイビングガイドサービス一辺倒から,SUPやカヤックなど新しいマリンレジャーを取り込んで,提供サービスの多様化が進んできている,といえる。 </p><p> 2010年代は島の観光を取り巻く社会的条件に恵まれて観光客は増加している。しかし,マリンレジャー事業者の中には,スキューバダイビング以外のマリンレジャーを楽しむ層が増えただけ,と認識している人もいる。また,一般旅行客が増えたために,船舶や宿泊施設の予約が取りにくくなり,ダイビングのリピーター客の中には,行きたい時に中々チケットがとれない座間味島を敬遠する動きが出ている,と経営者たちはみている。</p><p> マリンレジャー経営者は日本人の若年層の個人客を顧客のターゲットとして捉えており,外国人や団体客を重視していない傾向がみられた。</p>