著者
水野 一晴
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2020, 2020

<p><b>1</b><b>.京都大学自然地理研究会の発足とその目的</b></p><p></p><p> 京都大学に自然地理研究会が発足したのは2001年4月である。演者が1997年より京都大学の全学共通科目(一般教養)にて自然地理学の授業を担当すると、次第に、自然地理学を京大で学べる場を作って欲しいという要望を受けるようになってきた。当時、文学部と総合人間学部に地理学教室があったものの、教員がすべて人文地理学の教員であったため、とくに学部生が自然地理学を学べる場が一般教養以外になかった。その当時、演者は大学院アジア・アフリカ地域研究研究科の教員であった。自然地理学はとくにフィールドワークを重要視しているため、野外実習を行う場を設けるために、自然地理研究会を発足させることにした。会員制ではなく、登録をすると毎回案内が送られ、参加したいときだけ参加するという緩い組織である。参加資格に制限はなく、他大学や一般社会人の参加もある。計画は7〜8人からなる世話人を中心として、すべて学生が行い、演者は相談にのったり、参加するだけである。</p><p></p><p><b>2. 自然地理研究会の活動</b></p><p></p><p>自然地理研究会は、毎年春から夏まではほぼ毎月、秋〜冬は数ヶ月に1回程度、野外実習を実施してきた。2001年4月から始めたので、今年で20年目になる。当初は自然地理学に関する実習を中心に行っていたが、しだいに、実習の場所が決まると、そこでの自然地理学と人文地理学の両面から実習を行うことが多くなってきた。</p><p></p><p>コロナ汚染の影響でしばらく活動を自粛していたが、2020年7月に、第144回 自然地理研究会「琵琶湖疎水の歴史と周辺の地形」の実習を行った。琵琶湖疎水取水口と三井寺にて、疎水の成り立ちや琵琶湖周辺の地形について、インクラインと南禅寺にて、京都市の近代化について、琵琶湖疎水記念館にて、疎水の歴史を、主に世話人からなる数人の案内者の解説とともに現場で観察しながら学んだ。</p><p></p><p><b>3. </b><b>自然地理研究会の活動例(2016〜2019年度)</b></p><p></p><p><b>2019</b><b>年度</b>:「愛宕山の歴史と自然」「下鴨・上賀茂神社の社叢林:植生観察と都市緑地としての役割」「賤ヶ岳・余呉湖周辺の自然と歴史」「京大周辺の自然観察:大文字山と東山連峰」</p><p></p><p><b>2018</b><b>年度</b>:「京都御苑での冬の野鳥観察」「中池見湿地に生育・生息する動植物」「保津峡の入口と出口における歴史的・地質的観点からの考察」「京大周辺の自然観察:比叡山の地形・植生」</p><p></p><p><b>2017</b><b>年度</b>:「晩冬の京都で観られる季節の野鳥と植物の観察:方法と実践」「奈良盆地の形成と里山の棚田景観-古代の都・明日香村探訪-」「桂川の地形の観察と巨椋池の歴史」「京都で観られる季節の野鳥と植物の観察:方法と実践」「京大周辺の自然観察:大文字山と東山連峰」</p><p></p><p><b>2016</b><b>年度</b>:「自然地理研究会第100回記念〜白浜巡検〜」「海にせりでた伊根の舟屋集落とその成立要因」「都市大阪・凸凹地形散歩」「西の湖一周でわかる内湖とヨシ原の環境」「京大周辺の自然観察:比叡山の地形・植生」「京都:身近な京都の自然・文化・歴史をみる、きく、あるく」</p><p></p><p>写真:第144回 自然地理研究会「琵琶湖疎水の歴史と周辺の地形」(2020年7月撮影)</p><p></p><p>研究会のURL: http://jambo.africa.kyoto-u.ac.jp/cgi-bin/spg/wiki.cgi</p>

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