著者
上條 諒貴
出版者
日本政治学会
雑誌
年報政治学 (ISSN:05494192)
巻号頁・発行日
vol.70, no.2, pp.2_264-2_288, 2019

<p>本稿は、議院内閣制における 「内閣改造」 を、外部の政治状況の変化に応じた首相の人事権の戦略的行使と捉え、それが首相の地位維持にいかに資するかという観点から分析するものである。</p><p> まず、数理モデルを用いて、現政権 (首相) への有権者からの支持が低下すると、大臣職を与えることによって首相からの政策的距離が遠い議員の支持を取り付けることが困難になり、首相は地位維持に必要な党内支持を獲得できる可能性に賭けて自らに政策的に近い議員を大臣に任命するようになるという仮説を導く。</p><p> その後、「東京大学谷口研究室・朝日新聞共同調査」 および第一次安倍政権以降の日本の大臣人事データを用いた計量分析によってこの仮説を検証する。首相からの政策距離と内閣支持の交差項を含んだロジスティック回帰分析の結果、内閣支持が低下すると、経済政策に関する政策的距離が首相に近い議員の方が有意に大臣に任命されやすくなることが示される。</p>

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