著者
海津 正倫
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2021, 2021

<p>地理学はもともと記述・記載が中心の分野であった.その後,近代科学としての地理学が成立し,自然・人文現象に対する科学的真理の追究という現代の地理学へと進化した.このような学問としての発展の一方,最近まであまり注目されてこなかったことが,地理学の人類に対する使命という点ではないだろうか.地理学の人類の未来に対する貢献という観点である.</p><p></p><p>現在の我々を取り巻くさまざまな環境は,以前の歴史時代に比べてはるかに速いスピードで変化しており,そのような変化に対応して人類がいかに持続可能な発展をしていかなくてはならないか,ということが現在緊急の課題として問われている.地理学においてもこれまで培ってきた人文地理学や自然地理学の成果をいかに社会に還元するかが大きな課題となっている.</p><p></p><p>そのような課題の一つとして近年大きな問題となっている災害問題がある.地理学の成果を社会や人々にわかりやすく伝える上では地域の特性を明確に示すことが必要である.なかでも災害ということを念頭に置くと,水害地形分類図から発展したハザードマップや活断層分布図など各種の土地条件を示す地図の情報が有効である.また,地理学の得意とする地理情報システム(GIS)を駆使することも重要であり,これらを軸に避難行動に関わる事柄などをも含めて災害地理学を確立していくことが望まれる.</p>

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