著者
石戸 芳男
出版者
東北区水産研究所
雑誌
東北区水産研究所研究報告 (ISSN:0049402X)
巻号頁・発行日
no.52, pp.p33-43, 1990-03
被引用文献数
2

東北海区北部におけるヒラメ若齢魚の標識放流結果から次のことが明らかになった。1) 八戸・泊海域と宮古海域で1982年9月から1987年10月までに1019尾を放流した。1988年10月31日までに182尾が再捕され,再捕率は17.9%であった。2) 八戸・泊海域で放流したヒラメは南北に移動したが,主に津軽海峡まで北上し,さらに1尾は日本海を南下し富山県黒部川河口まで達した。宮古海域で放流したものも八戸沿岸まで北上するものが多く,南下は大部分山田湾付近までであった。3) 以上のことから,東北海区北部のヒラメは津軽海峡を通じて日本海側のものと交流していることが推測される。4) 放流から再捕までの経過日数は最大672日であったが,20日以内が61%,50日以内では81%を占め短期再捕が多かった。5) 移動速度は経過日数50日頃までに50~60kmを移動しているものが多かったが,4日間で77km移動した個体もあり,若齢魚でも短期間に長距離を移動することが推定される。

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