- 著者
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宿 玉堂
- 出版者
- 大阪外国語大学
- 雑誌
- 大阪外国語大学論集 (ISSN:09166637)
- 巻号頁・発行日
- vol.14, pp.83-95, 1996-02-29
AABB重畳形式は、現代中国語の中にしばしば登場して来る言語形式の一つで、文学的表現に色を添えている。従って多くの研究者によって研究対象として取り上げられ、優れた論文も少なくない。ところで、近代中国語においてAABB重畳形式はどのように活用され、どのような特徴を持ち備えているのだろうか。それは大変趣味深いテーマであり、研究に値する課題であると筆者は考える。数年前、筆者は『「三言」「二拍」に於けるAABB重畳形式』という試論を記し、5部の短編白話小説集に出て来るAABB重畳形式に対して分析を試みたが、今回は『水滸伝』『金瓶梅』及び『西遊記』等の長編白話小説におけるAABB重畳形式を考察し、概括・分類を試みることにした。尚、それらの構文的な役割も同時に探ってみることにした。また古文の範疇である『詩経』及び宋玉、司馬相如の賦を考察した幾つかの例も、「前書き」のなかに収めておいた。AABB重畳形式の根源に遡ってみたかったからである。筆者の研究不足のため文中に至らぬ点が多々あろうかと思うが、諸先生の叱正を乞う次第である。