- 著者
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平川 泰彦
藤澤 義武
中田 了五
- 出版者
- 森林総合研究所
- 雑誌
- 森林総合研究所研究報告 (ISSN:09164405)
- 巻号頁・発行日
- vol.2, no.1, pp.31-41, 2003-03
- 被引用文献数
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16
水戸市の旧林木育種センター育種素材保存園に植栽されていた約30年生のスギの精英樹クローン、563クローン1060個体を対象に基礎材質を調べた。供試木のクローンは、関東育種基本区(関東、甲信、東海地方及び福島県と岐阜県)に成育していた精英樹から接ぎ木または挿し木により育成されたものである。供試木の地上高約1.8m部分から約50cm長さの短尺丸太を採取し、年輪幅、晩材率、密度、生材含水率、心材率、心材色、無欠点小試験体の曲げヤング係数と曲げ強度、仮道管長および仮道管の二次壁中層のミクロフィブリル傾角を調べた。また、地際から1.8m長の丸太の動的ヤング係数を調べた。個体間の変動係数は、心材の生材含水率、外側10年輪の年輪幅、晩材率およびミクロフィブリル傾角で30%以上と特に大きく、丸太の動的ヤング係数と小試験体の曲げヤング係数では17.5%と25.6%でやや大きく、密度、心材率、心材色及び仮道管長では15%以下と小さかった。本研究で示したスギ精英樹クローンの材質変動は、日本全国におけるスギの若齢造林木のそれをほぼ表しており、スギの間伐材の利用で問題になっている心材の高含水率や丸太の低ヤング係数に関しては、育種による改良効果が期待できるものと考えられる。