- 著者
-
近藤 哲郎
- 出版者
- 関西福祉大学研究会
- 雑誌
- 関西福祉大学研究紀要 (ISSN:13449451)
- 巻号頁・発行日
- no.9, pp.119-132, 2006-03
本稿の目的は,フーコーの『狂気の歴史』第一部第二章「大いなる閉じ込め」の複雑に絡み合う議論全体をフーコーの分析手法の観点から解きほぐし,その論理の骨格を明確に示すことにある.すなわち,本稿における方法は,フーコーの活用する歴史資料にもっぱら注意を集中し,『狂気の歴史』第一部第二章で引用されるすべての歴史的事実と言説を,余すところなく,フーコーが意図した仕方で相互に位置づけるというものである.したがって,本稿は分析手法のレペルでの『狂気の歴史』の分析的再構成であり,そこで再現されるフーコーの議論は,その一切が歴史資料の裏づけのないものはないという意昧で,『狂気の歴史』の論理の骨格である.