著者
田口 標 松下 幸司 宇野 日出生
出版者
京都大学大学院農学研究科生物資源経済学専攻
雑誌
京都大学生物資源経済研究 (ISSN:13418947)
巻号頁・発行日
no.13, pp.124-112, 2007

大原は、今日、三千院、寂光院などで有名な京都の観光地の一つであるが、かつて京都の町中へ炭や柴、薪を売りに行っていた同地の女性たちの風俗が「大原女」として広く知られ、既に平安期頃より詩歌に詠まれてきたことからもわかるように、山で生産した燃料を京都へ供給してきた洛北の山村でもある。大原は、京都市内を流れる鴨川の支流高野川上流の東西に広がった盆地とその北方山間部の高原からなる。高野川沿いには、若狭街道、あるいは通称「鯖街道」と呼ばれる若狭から京都へ通じる古くからの街道が通っている。三年ほど前から、地元の有志によって立ち上げられた「大原古文書研究会」により、各町に残されている古文書の発掘、整理、解読が進められており、山村としての大原の近世以前の暮らしが徐々に明らかになりつつある。本稿は、そのような文書の中から、山林管理及び木柴に関する文書一二点を選び、翻刻を行ったものである。

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