著者
多ヶ谷 有子
出版者
関東学院大学[文学部]人文学会
雑誌
関東学院大学文学部紀要 (ISSN:02861216)
巻号頁・発行日
no.115, pp.51-78, 2008

本稿では英国最古の叙事詩『ベーオウルフ』に登場する寵臣アッシュヘレと、『太平記』巻第三十二が描く渡邊綱の話における話型の類似性を検証する。アッシュヘレは妖怪グレンデルの母女怪に連れ去られ、殺害される。綱との類似性が従来注目されなかったのは、該当部分の忍足欣四郎氏による英訳『太平記』をはじめ、一般に知られているのは流布本(岩波体系本)であり、綱の運命が曖昧だったからと思われる。本稿では永和本や玄玖本など、綱が鬼に運び去られると記す古態『太平記』諸本をも参照し、両者の類似性を明示する。あわせて『太平記』諸本、さらにお伽草子、絵巻における綱伝説の記述に見られる変遷を略述する。

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