著者
白井 美穂 黒沢 香
出版者
法と心理学会
雑誌
法と心理 (ISSN:13468669)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.114-127, 2009-10

本研究では裁判員制度の枠組みから「専門家でない人々による量刑判断の要因」について、前科情報による効果を中心に、しかし今後の研究の土台として他要因についても多角的な検討を試みた。大学生及び社会人を対象とした2つの質問紙実験の結果から、量刑判断の主な要因としては被告人の再犯可能性や事件の悪質性の推測が挙げられ、また厳罰傾向と呼べる個人変数も重要な要因であることが示された。本研究でみられた主な前科情報の効果は、被告人に前科がある場合はより再犯可能性が高く推測され量刑も重くなったこと、また呈示事件が前科から長期間経過しておりかつそれらの事件内容が類似している場合に、事件の種類に関わらず量刑が最も重くなったことが挙げられるが、量刑判断と前科情報の関連は被告人についての情報呈示のあり方によって顕著となる可能性が示された。また本研究では性犯罪である強姦致傷も含め量刑判断において性差は一貫してみられなかったが、参加者の性別とJW得点の交互作用が厳罰傾向を媒介して量刑判断に関連したことを示し、間接的に量刑へ影響を及ぼし得ることを示した。

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