著者
青木 孝良
出版者
日本酪農科学会
雑誌
ミルクサイエンス (ISSN:13430289)
巻号頁・発行日
vol.58, no.3, pp.199-205, 2009-12

国立大学設置法により昭和24年5月に新制大学が全国各地に設置された。設置当初は戦後の混乱期であり、物資が不足して新制大学の設備等はかなり貧弱だったと思われる。新制大学が発足した翌年の昭和25年6月に勃発した朝鮮動乱を契機に日本経済が復興してきた。そして、昭和30年代から高度経済成長を迎え、安定成長期へと移行した。戦後の経済の復興と成長に伴って新制大学の教育も充実して行き、昭和40年代になるとそれまでは旧帝大やこれに準ずる単科大学にしか認められていなかった大学院が、修士課程のみであったが新制大学にも設置された。そして、平成3年には全ての新制大学で農学系博士課程の教育ができるようになり、新制大学の教育は規模的にも質的にも充実してきた。しかし、平成の時代に入る前後から大学を取巻く状況も激変し、全国の国立大学で学部改組が行われ、従来の学部組織が大きく変貌した。新制大学において、牛乳・乳製品に関する教育は畜産学科の畜産製造学講座あるいは畜産物利用学講座を中心にして行われてきたが、最近では畜産学科や畜産製造学講座(研究室)の名称を殆ど見ることができない。それと同時にその教育内容も大きく変貌した。本報告では、新制大学の発足から今日までの牛乳・乳製品に関する教育がどのように変化してきたのかを、大学制度を踏まえながら、主に鹿児島大学と宮崎大学を例として概観する。

言及状況

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