著者
青木 孝良 水野 礼 木村 利昭 堂迫 俊一
出版者
日本酪農科学会
雑誌
ミルクサイエンス (ISSN:13430289)
巻号頁・発行日
vol.66, no.2, pp.125-143, 2017 (Released:2017-08-07)
参考文献数
63
被引用文献数
5

Numerous studies have been performed on casein micelles because they have characteristic structure and biological functions, and play important roles in processing of milk. More than twenty models have been proposed since Waugh proposed the first model of casein micelle in 1958. In this review, models of the casein micelle were divided into three groups of early stage, submicelle, and nanocluster modeles, and then their characteristics were described. Submicelle models of Slattery, Schmidt and Walstra had been accepted by many researchers. However, since Holt proposed the nanocluster model in 1992, most of the proposed models were modified nanocluster ones. We made discussions on the electron micrographs which played a key role in proposing the nanocluster models. Finally, we described whether it is possible to explain the changes in casein micelles during processing milk using the submicelle model of Schmidt, nanocluster models of Holt, Horne, and Dalglesish & Corredig. It is impossible to explain all phenomena which occur in casein micelles during processing of milk using any models. Further studies on casein micelles are needed.
著者
青木 孝良
出版者
日本酪農科学会
雑誌
ミルクサイエンス (ISSN:13430289)
巻号頁・発行日
vol.58, no.3, pp.199-205, 2009-12

国立大学設置法により昭和24年5月に新制大学が全国各地に設置された。設置当初は戦後の混乱期であり、物資が不足して新制大学の設備等はかなり貧弱だったと思われる。新制大学が発足した翌年の昭和25年6月に勃発した朝鮮動乱を契機に日本経済が復興してきた。そして、昭和30年代から高度経済成長を迎え、安定成長期へと移行した。戦後の経済の復興と成長に伴って新制大学の教育も充実して行き、昭和40年代になるとそれまでは旧帝大やこれに準ずる単科大学にしか認められていなかった大学院が、修士課程のみであったが新制大学にも設置された。そして、平成3年には全ての新制大学で農学系博士課程の教育ができるようになり、新制大学の教育は規模的にも質的にも充実してきた。しかし、平成の時代に入る前後から大学を取巻く状況も激変し、全国の国立大学で学部改組が行われ、従来の学部組織が大きく変貌した。新制大学において、牛乳・乳製品に関する教育は畜産学科の畜産製造学講座あるいは畜産物利用学講座を中心にして行われてきたが、最近では畜産学科や畜産製造学講座(研究室)の名称を殆ど見ることができない。それと同時にその教育内容も大きく変貌した。本報告では、新制大学の発足から今日までの牛乳・乳製品に関する教育がどのように変化してきたのかを、大学制度を踏まえながら、主に鹿児島大学と宮崎大学を例として概観する。
著者
青木 孝良
出版者
社団法人日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.46, no.9, pp.558-561, 1998-09-20
著者
加香 芳孝 青木 孝良
出版者
鹿児島大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1991

豚の脳通電失神と殺法(電殺法)と,炭酸ガス麻酔失神と殺法(ガス麻酔と殺法)とによる,と殺豚肉の肉質を比較することを目的とし,まずと殺前の失神法のストレス負荷の差を比較するため,ストレスホルモン,アドレナリンの放血血液中濃度を指標として比較したところ,一見ストレス負荷が少ないと思われる炭酸ガス麻酔の方が同ホルモン濃度が高かったので,ラットを用い基礎実験した結果,豚を麻酔室へ追込むために使用される電気ムチの影響で高いことが明らかとなった.しかし,ガス麻酔と殺法ではストレス負荷が大きいにも拘らず,異常内PSEの発生率が0〜4%以下であるという事実との矛盾を解明するため,血液と筋肉の両者について両法でと殺した豚について検討した結果,次の諸点が明らかとなり,上記の矛盾の原因も解明された.(1)放血血液のpHは電殺法では7.45±0.067(n=50)であるが,ガス麻酔と殺法では7.00±0.096(n=21)であり,炭酸ガス吸入に起因するアシド-ジスの結果,脳循環血液pHの急激な低下によって脳の機能麻痺による失神状態の出現が推定された.(2)胸最長筋についてと殺後30分以降48時間までのpHの経時的変化を測定比較したところ,電殺豚(n=10)では30分後の6.42から徐々に低下し20時間後に5.84となり,以後やや上昇して6.09となる変化を示したのに対して,ガス麻酔と殺豚(n=10)では頭初から低く30分後の5.74から殆ど変化無く48時間後も5.78であった点は対象的であり,しかも従来PSE発生原因はと殺後1時間以内のpHの急激な低下にあるとされていたが,ガス麻酔と殺豚ではPSE発生は皆無であった.(3)ストレス負荷が大きいにも拘らず,PSEが発生しない原因追及のためアドレナリンが筋肉細胞に作用する際の二次メッセンジャ-として働くcAMPの生成量を比較したところ,電殺豚では極めて高いのに対してガス麻酔と殺豚では顕著に低い(-50%)ことを世果に先駆けて発見したが,その原因はアデニル酸シクラ-ゼ活性が筋肉の低pHのために低下することに起因すると推定した.