- 著者
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大河原 清
苅間澤 勇人
- 出版者
- 岩手大学教育学部附属教育実践総合センター
- 雑誌
- 岩手大学教育学部附属教育実践総合センター研究紀要 (ISSN:13472216)
- 巻号頁・発行日
- no.10, pp.95-137, 2011
同じ書名『ジャックと豆の木』の2冊の本を高校2年生に読んでもらった。最初にミルクを出さなくなったので、牛を市場に売りに行く本である。この本の冒頭部分について、できるだけ数多くの疑問点、不思議な点、矛盾点を個人的立場で列挙してもらった。続いて、小グループを作って、グループ内で疑問点、不思議点、矛盾点を披露し合い、自分では気づかないことを、友達の発言の中に発見させた。これらの疑問点などをグループ毎に黒板に掲示して、競わせて得点づけをした。最後にこれまで出された疑問点などの解決が図られるような、別バージョンの本『ジャックと豆の木』を読んでもらった。高校生86人は、普段、グループでの話し合いをする経験が少ないことからか、82.5%の71人が読書への興味を持った。 本論で提案する同じ書名の本の読み比べ法について、高校生は次の通り述べていた。「一つの物語を、様々な目線から見たり、読み比べをしたりして、自分の疑問などを見つけ、真相に向かって行くのが、これほど楽しいということを知らなかった。また、他人の主張なども聞いて他人の考え方や人柄までも知ることができて、とても楽しかった。/意見を出し合ったりするのは、苦手なので、不安だったが、自分が考えつかなかった意見がたくさん聞けて、面白かった。『ジャックと豆の木』をもっと読みたくなった。自分とは違う考えや、自分が知らなかったことを学ぶことが楽しいと初めて思った」