著者
大河原 清
出版者
岩手大学
雑誌
岩手大学教育学部附属教育実践総合センター研究紀要 (ISSN:13472216)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.123-138, 2006

本論は、高等看護学院生37名を対象に、DVD『バトル・ロワイアル』の視聴後の感想文を手掛かりとして、DVD『バトル・ロワイアル』の映像とその内容の印象、特に、佐世保小6女児同級生殺害事件の加害少女への影響度合いを、看護学生はどのように捉えていたかについて述べたものである。結果から、高等看護学院生37名のうち31名(83.8%)がDVD『バドレ・ロワイアル』の映像が女児に何らかの影響を与えたと捉えていた。映像は真っ赤な血、その飛び散る様、首が切られるなど極めてリアルであり、音声は大きく、画面全体は暗く、話し言葉は乱暴で、殺し合いの反復が続く。結果として、怖い、残酷だ、気持ち悪い、嫌だ、見たくないという感想になった。映画の意味は特定しがたく、小学生にはただの殺人映画として捉えられ、殺害方法の参考になったのではないかと捉えていた。また1本を3回に渡って視聴した経過から、残酷な映像への慣れが生じていることが分かった。
著者
大河原 清 伊藤 一彦 苅間澤 勇人
出版者
岩手大学教育学部附属教育実践総合センター
雑誌
岩手大学教育学部附属教育実践総合センター研究紀要 (ISSN:13472216)
巻号頁・発行日
no.10, pp.163-168, 2011

首都圏で観察実習をすることが、首都圏での教員志望を促すか、ということを実証する。首都圏の一つ、千葉県の公立学校(小・中)において、観察実習を2009年に続いて、2010年に2回目を実施した。その目的は、地元岩手県の教員採用状況が厳しいために、学生に首都圏での受験を勧めるためである。他県での観察実習であり、千葉県教育庁の協力を得られたことも幸いして、2009年の反省を踏まえて、学生の要望に配慮して、特別支援学校を加えるなど、本格的な校種別実習を実施することができた。 本研究は、2010年の観察実習についての実施前後のアンケート調査結果を中心に、首都圏就職に対する不安や、地元岩手県を離れることの不安、さらに首都圏受験に対する意識変容を、2009年実施のデータとの比較を織りまぜながら、述べることとする。
著者
大河原 清 苅間澤 勇人
出版者
岩手大学教育学部附属教育実践総合センター
雑誌
岩手大学教育学部附属教育実践総合センター研究紀要 (ISSN:13472216)
巻号頁・発行日
no.10, pp.95-137, 2011

同じ書名『ジャックと豆の木』の2冊の本を高校2年生に読んでもらった。最初にミルクを出さなくなったので、牛を市場に売りに行く本である。この本の冒頭部分について、できるだけ数多くの疑問点、不思議な点、矛盾点を個人的立場で列挙してもらった。続いて、小グループを作って、グループ内で疑問点、不思議点、矛盾点を披露し合い、自分では気づかないことを、友達の発言の中に発見させた。これらの疑問点などをグループ毎に黒板に掲示して、競わせて得点づけをした。最後にこれまで出された疑問点などの解決が図られるような、別バージョンの本『ジャックと豆の木』を読んでもらった。高校生86人は、普段、グループでの話し合いをする経験が少ないことからか、82.5%の71人が読書への興味を持った。 本論で提案する同じ書名の本の読み比べ法について、高校生は次の通り述べていた。「一つの物語を、様々な目線から見たり、読み比べをしたりして、自分の疑問などを見つけ、真相に向かって行くのが、これほど楽しいということを知らなかった。また、他人の主張なども聞いて他人の考え方や人柄までも知ることができて、とても楽しかった。/意見を出し合ったりするのは、苦手なので、不安だったが、自分が考えつかなかった意見がたくさん聞けて、面白かった。『ジャックと豆の木』をもっと読みたくなった。自分とは違う考えや、自分が知らなかったことを学ぶことが楽しいと初めて思った」
著者
大河原 清 OOKAWARA Kiyoshi
出版者
岩手大学
雑誌
岩手大学教育学部附属教育実践総合センター研究紀要 (ISSN:13472216)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.65-78, 2004

地元盛岡市内にある円光寺にまつわる伝説「お蓮女と首塚」を題材として、小・中・高校教員を対象に、物語の創作を3回実施した。第1回では、51名中約75%の教員が物語の創作が楽しかったと報告した。第2回、第3回を実施し5段階のアンケート調査結果も、「どちらでもない(3)」と比べると、「物語の創作が楽しかった」は第2回の44名の平均値が4.5、第3回の21名のそれが4.7と高く、その他の項目も3より大きく好意的な回答が多かった。創作活動を観察した結果からは、教員同士のグループ活動が活性化すると共に、地元の歴史的事象に対して関心を深めていることが分かった。地元伝説をネタに物語創作をする方法(一種の再話に相当)は、「総合的な学習の時間」における調べ学習に適用できるのではないかと思う。調べ学習において、課題として、調べた内容をネタに新たに物語を創作することを導入することで、深い調べ方が身につくのではないかと想定するためである。