著者
石山 裕慈
出版者
弘前大学教育学部
雑誌
弘前大学教育学部紀要 (ISSN:04391713)
巻号頁・発行日
no.107, pp.7-14, 2012-03

本稿は、高山寺に蔵される『荘子』古写本7巻(甲巻5巻、乙巻2巻)に記入された字音点を対象として、国語学的見地から考察したものである。先行研究ですでに気づかれているとおり、本資料に散見される反切・同音字注などは、基本的に『経典釈文』によっており、場合によっては原初形と思われる記述も見られる。また、直接引用していない場合であっても、声点や仮名音注などに『経典釈文』の内容が間接的に反映されていると考えられる場合も存する。特に反切注から理論的に導き出された「人為的漢音」も存することは、漢字音学習のあり方を考える上で、また『論語』との違いを考える上で見逃せない事柄である。このほか、仮名音注や字音声点の特徴も、同年代の漢籍訓読資料とおおよそ共通しており、大学寮での講読が行われなかった資料であるとはいえ、その位置づけは『論語』などと大差はなかったものと思われる。

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石山 裕慈-  高山寺本『荘子』の漢字音 http://t.co/mo9G3IgM62 #CiNii

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