著者
喜田 宏
出版者
鶏病研究会
雑誌
鶏病研究会報 = Journal of the Japanese Society on Poultry Diseases (ISSN:0285709X)
巻号頁・発行日
vol.51, pp.7-12, 2015-09

H5およびH7高病原性鳥インフルエンザウイルスが世界各地で家禽と野鳥に感染し,甚大な被害を及ぼしている。少数の国において,鳥インフルエンザの制圧対策が適切に執られていないためである。「感染家禽の早期摘発・淘汰により,被害を家禽に封じ込め,人の健康と食の安全を守る」ことが鳥インフルエンザ対策の要である。H5N1およびH7N9ウイルスがパンデミックインフルエンザを起こすものと想定されている。私は,その可能性は低いと見ている。もしパンデミックインフルエンザが発生,流行したとしても,慌てることはない。新たなHA亜型のウイルスは,人集団に免疫がないので,伝播性は高いが,個々の人に対する病原性は低いからである。パンデミック第二波以後,すなわち,季節性インフルエンザを起こすウイルスの方が人の体内でよく増殖するので,病原性が高い。したがって,季節性インフルエンザ対策の改善・確立こそがパンデミックインフルエンザ対策の要である。

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