著者
岩本 博幸
出版者
東京農業大学農業経済学会
雑誌
農村研究 = Journal of rural community studies (ISSN:03888533)
巻号頁・発行日
no.121, pp.1-12, 2015-09

本稿の課題は,フェアトレード認証紅茶を事例として,フェアトレード認証表示に対する消費者評価を定量的に明らかにし,回答者属性が消費者評価に与える影響を明らかにすることである。主たる分析結果は以下の点である。第1に,フェアトレード認証紅茶に対して支払意志がある回答者の消費者評価額は平均WTPで44円(12.6%)増の394円となった。第2に,紅茶専門店で茶葉の種類を明記した紅茶を購入する回答者,フェアトレード商品購入経験者,ボランティア活動に積極的な回答者,震災復興支援目的の購買経験者のWTPが高くなる傾向がある。第3に,FLOが定める基準のうち,「学校や病院建設など社会発展への貢献」「児童労働の禁止など労働環境の改善」「農薬使用,水質・土壌保全など生産地の環境保全」について,AHP評価ウェイトを求めた結果,「児童労働の禁止など労働環境の改善」の重要度が最も高いことが示された。

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