- 著者
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伊藤 壽啓
- 出版者
- 鶏病研究会
- 雑誌
- 鶏病研究会報 = Journal of the Japanese Society on Poultry Diseases (ISSN:0285709X)
- 巻号頁・発行日
- vol.53, pp.1-6, 2017-09
2016年11月,H5N6亜型のウイルスによる高病原性鳥インフルエンザが青森県下で発生した。本亜型のウイルスによる発生は我が国では初めてであったが,高病原性鳥インフルエンザの国内発生としては,およそ2年ぶりのことであった。その後,本年3月までの約4カ月間に1道8県において合計12事例が報告されたが,いずれの発生においても,早期通報とその後の的確な初動対応がなされ,二次的な流行拡大は一切認められなかった。そのため,2017年6月28日をもって,我が国はOIEの規約に基づき,清浄国への復帰を果たしている。しかしながら,これまでの諸外国の流行状況をみると,来シーズンも我が国への新たなウイルスの侵入リスクは依然として高いと言わざるを得えない。農林水産省は近頃公表した疫学調査チーム報告書の中で,今後の我が国の高病原性鳥インフルエンザ防疫対策の更なる強化に向けた提言をまとめている。