著者
浅見 佳世 中尾 昌弘 赤松 弘治 田村 和也
出版者
公益社団法人 日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.64, no.5, pp.571-576, 2001-03-30 (Released:2011-07-19)
参考文献数
30
被引用文献数
28 23

本研究では, 放棄水田の水生生物を保全するための植生管理手法として, 植生配置のローテーションにより谷全体で種多様性を維持するシステム (シフティング・モザイク・システム) を提案し, その有効性について京都の府立公園予定地を事例に検討した。まず, このシステムを用いるのに適した遷移系列と, 初期化に適した遷移段階を把握し, 次に抽出した植生を対象に初期化を行いその効果を調べた。調査の結果, コナギ群落からカンガレイ群落へとむかう遷移系列において, 植生, 水生昆虫相共に遷移当初の状態が復元でき, システムの有効性が明らかになった。このように本研究は.遷移を前提とした植生管理の一つの方向性を示し得たと考える。