著者
岸田 研作 谷垣 靜子
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.52, no.8, pp.703-714, 2005 (Released:2014-08-06)
参考文献数
23

目的 特別養護老人ホーム(以下,特養)における身体拘束を受ける入居者の数と施設の特性との関連を明らかにすること。方法 対象は,2002年度に岡山県下で運営していたすべての特養,103施設,入居者総数6,829人である。データは,2002年10月に福祉オンブズおかやまが県下の特養に対して行ったアンケート調査(郵送自記式)と同年度の行政監査資料を併せたもので,施設単位の集団データである。調査では身体拘束の定義は示されておらず,拘束の有無は個々の施設が判断している。解析は,重回帰分析を行った。被説明事象は,身体拘束を受ける者が身体拘束を受ける可能性のある者に占める割合 (以下,身体拘束者数の割合),独立変数は施設の特性である。推定の精度をあげるためには,各施設の入居者から拘束対象となりうる母集団を出来る限り正確に絞り込む必要がある。そこで,身体拘束を受ける可能性がある者は重度痴呆老人(痴呆老人の日常生活自立度でIV以上と定義)であると仮定した。重度痴呆老人をIII以上とした場合についても解析を行った。成績 必要な変数に欠損値がなく解析の対象となったのは,72施設,1,700人の重度痴呆老人であった。74%の施設で少なくとも 1 人の入居者が身体拘束を受けていた。身体拘束者数の割合の平均は24.2%であった。身体拘束者数の割合が低いことと,手厚い人員配置,定期的なケアカンファレンス,ユニットケアの実施が,有意に関連していた。重度痴呆老人の定義をIII以上としても重回帰分析の結果はほとんど変わらなかった。結論 身体拘束者数の割合が低いことと,手厚い人員配置,定期的なケアカンファレンス,ユニットケアの実施が,有意に関連していた。
著者
岸田 研作 谷垣 靜子 藤井 大児 張 星源 乗越 千枝
出版者
岡山大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

介護保険になって、サービスを利用者が選択する仕組みになった。しかし、利用者には、サービスを選択するのに必要な情報が充分提供されてきたとは言い難い。そのため、サービスの選択は、利用者が直接行うのではなく、ケアマネジャーが勧めることが多いといわれる。しかし、ケアマネジャーは、利益誘導のため自分が所属する事業所のサービスを勧める傾向があるといわれる。そこで、本研究では、ケアマネジャーによる利用者に対する事業者情報の提供の実態について調べた。