著者
新庄 浩二 張 星源
出版者
岡山大学経済学会
雑誌
岡山大学経済学会雑誌 (ISSN:03863069)
巻号頁・発行日
vol.36, no.4, pp.447-461, 2005-03

本研究では,まず,日米の産業別のIT 投資構造を比較分析し,日本産業をIT 生産・使用セクター及び非IT セクターに分類した。そのうえで,こうしたセクターの間,及び日米間の労働生産性の差異を検討した。それと同時に,セクター毎にVAR モデルを用いて,IT 投資の日本産業への生産効果に関する因果関係を分析した。主な結果は以下のように要約できる。日米の比較では,米国のIT セクター部門シェアは日本を大きく上回り,且つ労働生産性の成長率も90年代後半に目立って上昇している。日本の労働生産性成長率では,IT 製造業とIT サービス業が非IT の両部門を上回る傾向にある。IT 投資の生産性成長に対する因果関係は検証されなかったが,労働生産性の上昇がIT 投資を促進するという関係が認められた。また,サービス業におけるIT 投資成長率は,IT 部門と非IT 部門ともに製造業でのIT投資成長率によってプラスの影響を受けることが示された。In this paper, we present comparisons of labor productivity growth between the IT sector and Non−IT sector in Japanese industries, and investigate the causal relationships between IT investment growth and labor productivity growth in both sectors. Based on VAR approach, our findings indicate that IT investment is not causing, but being caused by labor productivity growth, and show that the causality relationship exists from the IT investment in manufacturing industries to that in service industries.
著者
張 星源 優 克剛
出版者
岡山大学大学院文化科学研究科
雑誌
北東アジア経済研究 (ISSN:18808476)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.69-89, 2004

本論文はNBERがまとまったアメリカUSPTOの特許間引用データベースを用いて、韓国、台湾、シンガポール、中国、マレーシアそしてタイという東アジア六ヶ国・地域における特許間引用と特許出願についての現状を分析したものである。主に、次のような結果を得た。(1)特許の出願と特許間引用について、この六ヶ国・地域ともに量的に急速に上昇しており、韓国と台湾の方ははるかに他の4ヶ国を上回っている。(2)質的には、特許の出願と特許間引用において、韓国と台湾そしてシンガポールはともにIT情報技術及びコンピューター産業に集中している。(3)特許間引用の結果から同産業内での技術普及が見られている。(4)この6ヶ国・地域の特許出願に関するハーフィンダール指数は日本及び欧米よりはるかに大きくなっている。
著者
張 星源
出版者
岡山大学大学院社会文化科学研究科
雑誌
北東アジア経済研究 (ISSN:18808476)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.1-16, 2009-03-26

本稿では、アメリカUSPTOに登録された各国の特許情報に基づき、日本を始め、アメリカ、ヨーロッパおよびアジア諸国・地域における情報技術に関連するイノベーションの国際比較を行った。得られた結果は以下のように要約できる。特許の登録件数では、アメリカ、日本、EU15カ国の順に多いが、最近では、アジア各国の成長が著しい。また、フィンランドやアイランドのような情報化先進国とともに、日本や韓国のICT特許の特化係数が最も高いことが分かる。特許一件当たりの引用回数により特許の質をみると、アメリカの被引用件数が最も多く、日本とEU がこれに次ぎ、アジア諸国の引用される回数は少ない。技術スピルオーバーについては、アメリカとアジアは、他国よりイノベーションの成果を吸収しているのに対し、日本とEUは逆に他国にイノベーション成果を流出させているといえる。
著者
岸田 研作 谷垣 靜子 藤井 大児 張 星源 乗越 千枝
出版者
岡山大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

介護保険になって、サービスを利用者が選択する仕組みになった。しかし、利用者には、サービスを選択するのに必要な情報が充分提供されてきたとは言い難い。そのため、サービスの選択は、利用者が直接行うのではなく、ケアマネジャーが勧めることが多いといわれる。しかし、ケアマネジャーは、利益誘導のため自分が所属する事業所のサービスを勧める傾向があるといわれる。そこで、本研究では、ケアマネジャーによる利用者に対する事業者情報の提供の実態について調べた。
著者
張 星源
出版者
神戸大学
雑誌
神戸大學經濟學研究年報 (ISSN:02863340)
巻号頁・発行日
vol.45, pp.93-130, 1999-03-10

In this paper, we estimate the effects of a country's R&D capital stock and the R&D capital stocks of its trade partners on the country's growth of total factor productivity (TFP). Our results show that both domestic R&D and Foreign R&D have significant effects on the domestic growth of TFP. Compared with foreign R&D, however, domestic R&D has been shown to take some time lag to affect the growth of TFP. We also consider an alternative approach to the traditional index number techniques to estimate the growth of TFP. This method, called the stochastic frontier approach, allows us to distinguish the contribution of technological progress and efficiency changes to TFP growth in OECD countries.