著者
〓 凡 臼井 健二 沈 利星 小林 勝一郎 石塚 晧造
出版者
日本雑草学会
雑誌
雑草研究 (ISSN:0372798X)
巻号頁・発行日
vol.41, no.4, pp.295-301, 1997-01-31
被引用文献数
3

2葉期イネおよびタイヌビエを供試して, プレチラクロール単独およびフェンクロリムと混合して処理した場合のグルタチオン濃度とグルタチオン S-トランスフェラーゼ(GST)活性の変化を調べ, また, プレチラクロールの代謝生成物であるGS-プレチラクロール舎量も測定した。還元型グルタチオン(GSH)と酸化型グルタチオン(GSSG)含量およびプレチラクロールを基質とするGST_<(pret)> 活性はタイヌビエよりイネの方が高かった。プレチラクロールとフェンクロリム単独およびそれらを混合して処理した場合, GST_<(pret)>活性の増加が見られたが, その程度はイネの方がタイヌビエより高かった。GSH含量は, イネではプレチラクロール単独処理で減少し, 混合処理によりある程度回復したが, タイヌビエにおける回復はわずかであった。また, GS-プレチラクロール抱合体舎量はタイヌビエよりイネの方が多かった。以上の結果から, イネとタイヌビエにおけるプレチラクロールの選択作用性は, GST_<(pret)> 活性およびその誘導の差異が主因であると考えられる。また, フェンクロリムは主に GST_<(pret)> 活性の誘導を通じてイネにおけるプレチラクロールの薬害を軽減させるものと思われる。