著者
荒谷 博 関谷 敦 平舘 俊太郎 藤井 義晴
出版者
日本雑草学会
雑誌
雑草研究. 別号, 講演会講演要旨 (ISSN:0372798X)
巻号頁・発行日
no.43, pp.176-177, 2004-04-16

トリュフ(Tuber melanosporum)は子実体が発生する条件が整うとその地上部には"ブリュレ(焼け跡地)"と呼ばれる草の生えないパッチが観察されるようになる。同様の抑草現象は野生種のハナホウキタケ、ニンギョウタケなどにも観察され、化学物質を放出することにより現象を発現していることが考えられる。しかし、キノコのアレロパシーを利用した雑草抑制の試みはほとんどなされておらず、作用成分もほとんど明らかにされていない。そこで、キノコ子実体のアレロパシー活性を昨年に引き続きサンドイッチ法を用いて検定した。また、サンドイッチ法により、活性が強かったブナシメジ(Hipsizigus marmoreus)については、菌体が多く含まれる廃菌床についても成長阻害活性を調査した。
著者
紙谷 年昭 中山 祐一郎 山口 裕文
出版者
日本雑草学会
雑誌
雑草研究. 別号, 講演会講演要旨 (ISSN:0372798X)
巻号頁・発行日
no.42, pp.112-113, 2003-04-19

希少種を多く含む水生雑草であるミクリ属(Sparganium L.)植物は水辺の植物群落の復元などにおいて自然修復措置の素材として注目されている。しかし,ミクリ属では種の同定の難しさもあって研究が進んでおらず,環境修復を効率よく進めるために必要な生活史や生育環境についての基礎的な情報が不足している。ミクリ属は根茎断片による分布拡大や根茎によるクローン成長によって群落を形成する。この性質は修復地における移植初期の群落形成に重要な役割を果すと考えられる。そこで本研究では,ミクリ属のミクリとオオミクリ,ヒメミクリを環境修復素材として用いる際の基礎的な知見を得るため,3種を同一環境下で栽培し,根茎の伸長様式をはじめとするクローン成長に関する形質を調査した。
著者
中島 江理 平舘 俊太郎 加茂 綱嗣 藤井 義晴
出版者
日本雑草学会
雑誌
雑草研究. 別号, 講演会講演要旨 (ISSN:0372798X)
巻号頁・発行日
no.43, pp.178-179, 2004-04-16

マメ科牧草であるヘアリーベッチ(Vicia villosa Roth)は、強いアレロパシー作用をもつことが知られており、また、窒素固定による緑肥効果があることから、耕作放棄地や果樹園などの雑草防除に利用されている.このヘアリーベッチに含まれる植物成長阻害物質として、加茂らによりシアナミド(Fig.l)が単離・同定された.シアナミドは窒素肥料である石灰窒素の主成分であり、一方で果樹の休眠打破剤として古くから利用され、また、殺菌、防虫、除草効果を持つことが報告されている.これまでシアナミドは化学的に合成されており、自然界には存在しないと考えられていたが、ヘアリーベッチの体内成分として天然に存在していることが明らかとなり、加えてヘアリーベッチの他感物質として重要な役割を果たしている可能性が示唆された.そこで本研究では、植物界におけるシアナミドの役割について解明することを目的とし、まず、シアナミドの各種植物に対する生育阻害活性について調べた.また、これまでの研究により、ヘアリーベッチ各品種の葉においてそのシアナミド含量には違いが見られたことから、ヘアリーベッチ各品種のシアナミドに対する感受性について検討した.