著者
渡邊 將司 〓井 省三
出版者
一般社団法人日本体力医学会
雑誌
体力科学 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.54, no.5, pp.353-361, 2005 (Released:2006-12-01)
参考文献数
30
被引用文献数
10 7

本研究の目的はジュニア競泳選手の短距離泳パフォーマンスに影響を及ぼす要因を分析するとともに, それらが年齢に伴ってどのように変化するかを明らかにすることである. 被験者は8~10歳, 11~12歳, 13~14歳, 15~18歳の4グループに区分された8~18歳の男子114名, 女子130名である. パフォーマンス (個人の50m泳のベストタイム) には体格, 筋力, 柔軟性, ストローク効率が強く影響していると仮定した. 11項目の測定値に因子分析を実施し, 体格因子, 筋力因子, そして柔軟性因子を抽出した. 因子分析から抽出された3因子とストローク効率で構成される重回帰モデルに多母集団の同時分析を性別, 年齢群別に実施した. 男女とも14歳以下では, ストローク効率のパフォーマンスへの影響が最も強かった. 15歳以上では, 男子は筋力因子のパフォーマンスへの影響が最も強くなり, 女子では体格因子が最も強くなった. 競技歴がストローク効率に及ぼす影響は小さかった. この結果, ストローク効率のパフォーマンスへの影響は低年齢で強く, 年齢とともに弱まるが, 反面, 体格因子と筋力因子は低年齢で影響が弱く, 年齢とともに強まることを示唆している.