著者
内田 彩子 山口 直子 伊藤 瑞香 〓谷 要 Ayako UCHIDA Naoko YAMAGUCHI Mizuka ITO Kaname KATSURAYA
出版者
和洋女子大学
雑誌
和洋女子大学紀要 = The journal of Wayo Women's University (ISSN:18846351)
巻号頁・発行日
vol.54, pp.1-12, 2014-03

現代の日本人は洋服で生活することが一般的になっており、和服は冠婚葬祭等の儀式的な場面で用いられたりまたは夏のお祭りに用いられるゆかたがほとんどである。そのため、今日ではきものは日本の民族服と言われているにも関わらず、ほとんどの人が和服から離れた生活を送っている。和服を所持していない、所持していても自分で着ることが出来ない、着崩れが生じ易く着崩れた際に自分で直すことが出来ない等の問題が指摘されており、また、少しの着崩れでもだらしがない、みっともないなどと見られてしまうことが着物を着るということに対しての障害となっている。 着崩れの要因は多岐にわたると考えられているが、今回は時代の流れと共に着崩れの要因、着崩れの形態が変化しているのかという点に着目した。それにより、日常的に着物を常用していた時代の方が着装しやすかったのか、着装していても着崩れにくかったのかを検証することを目的とした。 まず、現在の着物の形態が完成されたと考えられる江戸時代後半から、ほぼ洋服の着用が主流となる現代までの標準寸法を、裁縫書および教科書から抽出し、身丈、袖丈、前幅、後幅、衽幅、合づま幅等の変遷を追い、身丈、袖丈は時代により変化するが、幅に関する仕立て上がり寸法には大きな変化がないことを示した。 次に、着物が日常的に着用されていた「江戸」、「明治」、「戦前」、洋服が日常着になる「戦後」の4時代の試験衣を製作した。その試験衣を用いて、着装状態を再現し、動作前後の着崩れの比較検証を行った。 その結果、着装状態では、戦後はほとんど現在の着装形態と変わらないことが分かった。また、時代をさかのぼるほど衿合わせ位置が下がる傾向が認められた。明治時代は全体的な印象としては現在と大きな変化はないが、衿合わせ位置は明確に下がっていることが分かった。結果として、着崩れは時代による顕著な変化は認められず、どの時代でも同様の着崩れ方、着崩れ量を示した。さらに、長襦袢とひとえ長着を比較すると、長襦袢の方が着崩れ量が大きく、長襦袢が緩衝機構となっていることが示された。
著者
〓谷 要 小平 志乃 出山 悦代 後藤 政幸
出版者
和洋女子大学
雑誌
和洋女子大学紀要. 家政系編 (ISSN:09160035)
巻号頁・発行日
vol.43, pp.111-122, 2003-03-31

キチンやキトサンと同じ2-アミノ糖を基本単位とする食物繊維糖鎖の一つである(1→4)-α-ポリガラクトサミンの化学修飾による新規機能分子化を検討した。(1→4)-α-ポリガラクトサミン2位のアミノ基を、穏和な水系緩衝溶液条件でボラン・ピリジン錯体を還元剤とする還元アミノ化反応により置換させた。置換基としては、マルトースやラクトースをはじめとするオリゴ糖を用い、種々の条件を検討した。還元アミノ化反応では、ポリガラクトサミン中のガラクトサミン残基に対するオリゴ糖のモル比に応じて、置換度が異なる生成物を得た。これらのオリゴ糖鎖導入ポリガラクトサミンを、三酸化イオウ・ピリジン錯体を硫酸化剤として、乾燥ピリジン中で硫酸化した。硫酸化生成物は極めて高い水溶性を示した。さらに、オリゴ糖鎖導入ポリガラクトサミンの分子構造を、コンピュータを用いた分子軌道計算、分子力場計算により推定した。計算結果から、オリゴ糖鎖が導入された場合、主鎖構造は僅かに湾曲した直鎖状となり、側鎖はほぼ完全に交互に位置する構造を取ることが予測された。らせん状の構造を取らなかったのは、主鎖構造の糖鎖間の結合様式によるものと考えられた。