- 著者
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〓谷 要
小平 志乃
出山 悦代
後藤 政幸
- 出版者
- 和洋女子大学
- 雑誌
- 和洋女子大学紀要. 家政系編 (ISSN:09160035)
- 巻号頁・発行日
- vol.43, pp.111-122, 2003-03-31
キチンやキトサンと同じ2-アミノ糖を基本単位とする食物繊維糖鎖の一つである(1→4)-α-ポリガラクトサミンの化学修飾による新規機能分子化を検討した。(1→4)-α-ポリガラクトサミン2位のアミノ基を、穏和な水系緩衝溶液条件でボラン・ピリジン錯体を還元剤とする還元アミノ化反応により置換させた。置換基としては、マルトースやラクトースをはじめとするオリゴ糖を用い、種々の条件を検討した。還元アミノ化反応では、ポリガラクトサミン中のガラクトサミン残基に対するオリゴ糖のモル比に応じて、置換度が異なる生成物を得た。これらのオリゴ糖鎖導入ポリガラクトサミンを、三酸化イオウ・ピリジン錯体を硫酸化剤として、乾燥ピリジン中で硫酸化した。硫酸化生成物は極めて高い水溶性を示した。さらに、オリゴ糖鎖導入ポリガラクトサミンの分子構造を、コンピュータを用いた分子軌道計算、分子力場計算により推定した。計算結果から、オリゴ糖鎖が導入された場合、主鎖構造は僅かに湾曲した直鎖状となり、側鎖はほぼ完全に交互に位置する構造を取ることが予測された。らせん状の構造を取らなかったのは、主鎖構造の糖鎖間の結合様式によるものと考えられた。