著者
後藤 政幸 荒巻 輝代 芳原 達也
出版者
和洋女子大学
雑誌
和洋女子大学紀要. 家政系編 (ISSN:09160035)
巻号頁・発行日
vol.42, pp.29-37, 2002-03
被引用文献数
2

ミネラルウォーター,茶,果汁飲料等の500mlペットボトル飲料は「リキャップできる」,「携帯に便利」等の特性により,室内・外を問わず生活の種々の場面で多く飲用されている。しかしこの利便性に伴う飲用習慣が細菌増殖を引き起こし,ひいては衛生学的な問題が生じると懸念する。著者らは実験的にペットボトル飲料に実際の飲用習慣に近似した内容の細菌汚染をさせ,その飲料水中の細菌数の変化を観察して衛生学的な問題を検討した。5種の小型ペットボトル飲料(ミネラルウォーター,茶,果汁飲料,乳酸飲料,スポーツ飲料各1種)に唾液と手指で汚染させた生理食塩水を定量的に加え,15℃および36℃の温度条件下で2,5,10,20時間保存した試料について一般細菌と大腸菌群の菌数を測定した。結果,一般細菌に関しては,ミネラルウォーターと茶の場合,15℃および36℃共に2時間保存以後,時間の経過に伴い菌数は増加した。増加傾向は高温保存の方が大きかった。また,2時間保存の時点で飲料水水質基準に不適合となった。これらに対して果汁飲料,乳酸飲料およびスポーツ飲料は接種した細菌数が2時間保存以後,減少する成績が得られた。菌数の減少は時間の経過に従い大きくなる傾向を示し,特に両温度条件共に果汁飲料の2時間保存時に顕著であった。大腸菌群は,5回測定中2回の36℃保存のミネラルウォーターと茶の場合にだけ検出されたが,他の試料からは検出されなかった。特に,ミネラルウォーターの20時間,茶の10時間と20時間保存時に大腸菌群数の増加は著しかった。以上の成績から,小型ペットボトル飲料をリキャップに伴う数回の口付け飲用や野外への携帯で不潔に取り扱う等,日常の飲用形態で利用した場合,飲料水の種類によっては飲料水水質基準の細菌項目に対して不適合となる飲料水を摂取する可能性があり,衛生学的に問題となることが判明した。
著者
佐藤 千恵 後藤 政幸 Chie SATO Masayuki GOTO
出版者
和洋女子大学
雑誌
和洋女子大学紀要 (ISSN:18846351)
巻号頁・発行日
vol.55, pp.149-155, 2015-03

内分泌かく乱作用が懸念されるピレスロイド系農薬の環境生態系への影響を把握することを目的に、貝類中微量ピレスロイド系農薬の分析方法の開発を試みた。ホンビノス貝(Mercenaria mercenaria)を対象に5種ピレスロイド系農薬(ビフェントリン、ペルメトリン、シペルメトリン、フェンバレレート、デルタメトリン)を添加して、微量濃度における回収率(ホンビノス貝中各農薬濃度0.1ppm)および分析の迅速性、クリーンアップ処理の妥当性について検討した。農薬分析の前処理には高速溶媒抽出およびゲル浸透クロマトグラフクリーンアップを採用した。結果、ビフェントリン、ペルメトリン、シペルメトリン、フェンバレレートおよびデルタメトリンの回収率はそれぞれ67、86、76、82および79%であり、「食品中に残留する農薬等に関する試験法の妥当性評価ライン」(平成22年12月厚生労働省医薬食品局食品安全部長通知)に定められた回収率の目標値(70〜120%)のほぼ範囲内であった。また、高速溶媒抽出により分析時間の短縮等有効な抽出ができ、ゲル浸透クロマトグラフクリーンアップ法を取り入れたことでガスクロマトグラフ/質量分析時の夾雑物質による検出器等の汚染や定量感度の低下が解消された。
著者
〓谷 要 小平 志乃 出山 悦代 後藤 政幸
出版者
和洋女子大学
雑誌
和洋女子大学紀要. 家政系編 (ISSN:09160035)
巻号頁・発行日
vol.43, pp.111-122, 2003-03-31

キチンやキトサンと同じ2-アミノ糖を基本単位とする食物繊維糖鎖の一つである(1→4)-α-ポリガラクトサミンの化学修飾による新規機能分子化を検討した。(1→4)-α-ポリガラクトサミン2位のアミノ基を、穏和な水系緩衝溶液条件でボラン・ピリジン錯体を還元剤とする還元アミノ化反応により置換させた。置換基としては、マルトースやラクトースをはじめとするオリゴ糖を用い、種々の条件を検討した。還元アミノ化反応では、ポリガラクトサミン中のガラクトサミン残基に対するオリゴ糖のモル比に応じて、置換度が異なる生成物を得た。これらのオリゴ糖鎖導入ポリガラクトサミンを、三酸化イオウ・ピリジン錯体を硫酸化剤として、乾燥ピリジン中で硫酸化した。硫酸化生成物は極めて高い水溶性を示した。さらに、オリゴ糖鎖導入ポリガラクトサミンの分子構造を、コンピュータを用いた分子軌道計算、分子力場計算により推定した。計算結果から、オリゴ糖鎖が導入された場合、主鎖構造は僅かに湾曲した直鎖状となり、側鎖はほぼ完全に交互に位置する構造を取ることが予測された。らせん状の構造を取らなかったのは、主鎖構造の糖鎖間の結合様式によるものと考えられた。
著者
後藤 政幸 荒巻 輝代 芳原 達也 ゴトウ マサユキ アラマキ テルヨ ホウバラ タツヤ MASAYUKI GOTOH Teruyo Aramaki Tatuya Hobara
雑誌
和洋女子大学紀要. 家政系編
巻号頁・発行日
vol.42, pp.29-37, 2002-03

ミネラルウォーター,茶,果汁飲料等の500mlペットボトル飲料は「リキャップできる」,「携帯に便利」等の特性により,室内・外を問わず生活の種々の場面で多く飲用されている。しかしこの利便性に伴う飲用習慣が細菌増殖を引き起こし,ひいては衛生学的な問題が生じると懸念する。著者らは実験的にペットボトル飲料に実際の飲用習慣に近似した内容の細菌汚染をさせ,その飲料水中の細菌数の変化を観察して衛生学的な問題を検討した。5種の小型ペットボトル飲料(ミネラルウォーター,茶,果汁飲料,乳酸飲料,スポーツ飲料各1種)に唾液と手指で汚染させた生理食塩水を定量的に加え,15℃および36℃の温度条件下で2,5,10,20時間保存した試料について一般細菌と大腸菌群の菌数を測定した。結果,一般細菌に関しては,ミネラルウォーターと茶の場合,15℃および36℃共に2時間保存以後,時間の経過に伴い菌数は増加した。増加傾向は高温保存の方が大きかった。また,2時間保存の時点で飲料水水質基準に不適合となった。これらに対して果汁飲料,乳酸飲料およびスポーツ飲料は接種した細菌数が2時間保存以後,減少する成績が得られた。菌数の減少は時間の経過に従い大きくなる傾向を示し,特に両温度条件共に果汁飲料の2時間保存時に顕著であった。大腸菌群は,5回測定中2回の36℃保存のミネラルウォーターと茶の場合にだけ検出されたが,他の試料からは検出されなかった。特に,ミネラルウォーターの20時間,茶の10時間と20時間保存時に大腸菌群数の増加は著しかった。以上の成績から,小型ペットボトル飲料をリキャップに伴う数回の口付け飲用や野外への携帯で不潔に取り扱う等,日常の飲用形態で利用した場合,飲料水の種類によっては飲料水水質基準の細菌項目に対して不適合となる飲料水を摂取する可能性があり,衛生学的に問題となることが判明した。
著者
後藤 政幸 佐藤 千恵 間中 友美 中島 肇 Masayuki GOTO Chie SATO Yumi MANAKA Hadjime NAKAJIMA
出版者
和洋女子大学
雑誌
和洋女子大学紀要 = The journal of Wayo Women's University (ISSN:18846351)
巻号頁・発行日
vol.55, pp.127-133, 2015-03-31

りんごに5種ピレスロイド系農薬(ビフェントリン、ペルメトリン、シペルメトリン、フェンバレレート、デルタメトリン)を低濃度(残留基準濃度;0.5ppm)塗布後、室温・明所下で7日間保存した。保存1日後、4日後、7日後に可食部について残留農薬濃度を分析した。結果、Ⅰ型ピレスロイド(ビフェントリン、ペルメトリン)は保存1、4、7日後にそれぞれ0.26、0.12、0.06ppm、Ⅱ型ピレスロイド(シペルメトリン、フェンバレレート、デルタメトリン)は0.44、0.37、0.35ppmに減少した。1日間および7日間保存のりんごについて、果皮および果肉に分けて残留農薬の分析を行った結果、果肉は7日間保存の試料にだけⅡ型農薬(シペルメトリン、フェンバレレート、デルタメトリン)が微量検出され、果肉中農薬量/果皮中農薬量の割合は3.0~4.9%であった。 次いで、りんご果皮に付着している農薬の除去法について検討した。りんごに同様の低濃度農薬を塗布して、水洗およびふきとり操作を行った。可食部について農薬分析を行った結果、水洗操作では5種ピレスロイド系農薬の残留率は93~99%、ふきとり操作では22%~42%であり、水洗による農薬除去は期待できなかったが、ふきとりは農薬除去に有効であった。
著者
田中 愛子 後藤 政幸 岩本 晋 李 恵英 杉 洋子 金山 正子 奥田 昌之 國次 一郎 芳原 達也 Aiko TANAKA Masayuki GOTOH Susumu IWAMOTO Keiei LI Yoko SUGI Masako Kanayama Masayuki Okuda Ichiro KUNITSUGU Tatsuya HOBARA 山口大学医学部環境情報系・公衆衛生学講座 和洋女子大学短期大学部 元山口県立大学看護学部 岡山大学大学院法医生命倫理学講座 山口大学医学部環境情報系・公衆衛生学講座 山口大学医学部環境情報系・公衆衛生学講座 山口大学医学部環境情報系・公衆衛生学講座 山口大学医学部環境情報系・公衆衛生学講座 山口大学医学部環境情報系・公衆衛生学講座 Department of Public Health. and. Human Environment and Preventive Medicine Yamaguchi University School of Medicine Department of Health and Nutrition Wayo Women's University Formerly of School of Nursing Yamaguchi Prefectural University Department of Legal and Bioethics Graduate School of the University of Okayama Department of Public Health. and. Human Environment and Preventive Medicine Yamaguchi University School of Medicine Department of Public Health. and. Human Environment and Preventive Medicine Yamaguchi University School of Medicine Department of Public Health. and. Human Environment and Preventive Medicine Yamaguchi University School of Medicine Department of Public Health. and. Human Environment and Preventive Medicine Yamaguchi University School of Medicine Department of Public Health. and. Human Environment and Preventive Medicine Yamaguchi University School of Medicine
出版者
山口大学医学会
雑誌
山口医学 (ISSN:05131731)
巻号頁・発行日
vol.50, no.4, pp.697-704, 2001-08-31
参考文献数
21
被引用文献数
1

In order to explore how to provide death education according to age groups, we examined the differences in the awareness of death between the adolescent and the middle age groups. A questionnaire survey was conducted using the Death Concern Scale. The subjects were students (n=627) aged between 19 and 29 (i.e. the adolescent group), company workers (n=149) and visiting nurses (n=94) aged between 30 and 64 (i.e. the middle age group). First, the question items were analyzed by content analysis and confirmed by factor analysis. Two factors were extracted from the Death Concern Scale:"thinking about death " and "anxiety and fear of death". Secondly, the data from both age groups were analyzed and compared by using the Mean Structure Model. The factor "thinking about death" had a greater value for the adolescent group than for the middle age group. There was no significant difference between the two groups in terms of the factor "anxiety and fear of death". These results imply that death education carries more importance for the adolescent group than for the middle age group.