著者
アムール=マヤール オリビエ
出版者
国際基督教大学ジェンダー研究センター
雑誌
Gender and Sexuality (ISSN:18804764)
巻号頁・発行日
no.13, pp.29-47, 2018-03-31

ヴァンパイアについての最近の映画やテレビドラマシリーズの中には、社会的-政治的観点から、特に2 つほど注目に価するものがある。ギレルモ・デル・トロ (Guillermo del TORO ) によって制作された、アメリカのテレビドラマシリーズ『ストレイン (The Strain)』(2014) と、ジョン・ローガン (JohnLOGAN) のイギリスのテレビドラマシリーズ『ペニー・ドレッドフル (PennyDreadful)』(2014) は、ロマンティックな要素と性的な含意がすべて奪い去られた、まったく新しいヴァンパイアのイメージを描いている。『ストレイン』と『ペニー・ドレッドフル』、どちらのケースにおいても、ヴァンパイアはもはや、19世紀のブラム・ストーカー(『ドラキュラ』)、あるいは20世紀初頭のムルナウ(『ノスフェラトゥ』)によって描かれた、彼らの祖先のように、ユダヤ人共同体の暗喩的な表象としては描かれていないことは明らかである。実際には彼らは今では、イスラム原理主義者という侵略者のステレオタイプとして描かれている。これらのドラマのどちらにも、政治的・経済的衰退の中で構築されたスケープゴートの同じような輪郭を見ることができる。 本稿では、初めにある1つの共同体(ユダヤ人)から別の共同体(擬似ムスリム)への、固定観念の転換を示す。 次に、ある1つのスケープゴートの姿が別のものへと変わることについて、イスラム原理主義者のメタファーとしてのヴァンパイアを描こうとして過去から取り入れた、特徴的な姿を強調するために、本稿では2つのテレビドラマシリーズを別々に提示する。 最後に、どのようにして宗教的な差別が、何らかの形で、ジェンダー/LGBTQ差別と常に強く結びつけられているかを強調するために、(筆者がこのように呼んでいる)「マイノリティ・ポリシー」の問題に焦点をあてる。
著者
アムール=マヤール オリビエ
出版者
立教大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

この3年間では私は特に、次の3つの主たる目的を設定した。まず第一には国際シンポジウム「ミシェル・ビュトール-境界にて、あるいは移動の芸術」を開催することである。シンポジウムの目的は、ビュトール作品にみられる日本文化の影響を明らかにすることであった。研究の2つ目の目的は、フランス現代作家の作品にみられるアジア文化の影響、特に日本文化の影響について、書物を準備・刊行することであった(『ノマドのエクリチュール-フランス作家と極東』)。研究の3つ目の目的は、上記シンポジウムの成果に基づく、共著を出版することであった(『ミシェル・ビュトール-境界にて、あるいは移動の芸術』、ディジョン大学出版局)。