- 著者
 
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             アルベルト マルティネリ
             
             矢澤 修次郎
             
             柚木 寛幸
             
          
 
          
          
          - 出版者
 
          - 日本社会学会
 
          
          
          - 雑誌
 
          - 社会学評論 (ISSN:00215414)
 
          
          
          - 巻号頁・発行日
 
          - vol.53, no.1, pp.13-38, 2002 
 
          
          
          
          - 被引用文献数
 
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             1
             
             
             
          
        
 
        
        
        本論文において筆者は, 21世紀初頭のグローバリゼーションが急速に進行する世界において, グローバルガバナンスと権力のアカウンタビリティの問題が焦眉の課題であることを論ずる.<BR>その問題に回答をだすために, 本論文は, まずはじめに, 現代世界において進行しているグローバリゼーションを如何なるものとして把握するのかを明らかにする.筆者はグローバリゼーションを, 広い視野から, 複数の原因をもつ極めて多層的な過程と捉える.その過程から, グローバルガバナンスがもっとも重要な問題として浮上してくる.何故ならば, グローバルな舞台において, かつて国民国家や民主主義が果たした機能を担うものが形成されていないからである.筆者は, グローバルな舞台における主要な行為者を検討し, 民主的なガバナンスを担うスーパーナショナルな制度形成の重要性を指摘する.またその文脈において, 具体例をヨーロッパ連合に採り, どのようにして民主的なグローバルガバメントを形成するのかを検討する.その検討から明かになることは, そうした制度の基盤になるものは, エトスとエポスをおいて他にないということである.国際学会は, この両者を共有しており, グローバル時代においてグローバルガバナンスを確立するために少なからぬ貢献をする可能性を秘めており, より積極的な活動を展開することが期待されている.