著者
横田 秀樹 アンドリュー ラドフォード
出版者
日本第二言語習得学会
雑誌
Second Language (ISSN:1347278X)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.59-94, 2012 (Released:2017-12-20)
参考文献数
42

英語のWh移動は,普遍的制約(例:Attract Smallest Condition, Chain Uniformity Condition)とパラメータ化された制約(例:P-Stranding Condition, Left Branch Condition)によって,目標要素(Goal)へのアクセスが制限されている。本研究では,日本人英語学習者(JLE)によって関連する制約がどのように習得されるのかを調べるために行った実験の結果を報告する。結果として,Goalへのアクセスを制限する普遍的制約は,習得初期段階にあたるJLEの中間言語文法においても機能しているが,一方で,パラメータ化された制約に関してはL1からL2への転移が初期の段階で現れる。これは,Full Transfer Full Accessモデル(Schwarz and Sprouse, 1994, 1996)を支持するものである。さらに,パラメータ化された制約の中には,JLEが再設定できるもの(例:P-Stranding Condition)もあるが,再設定できないもの(例:Left Branch Condition)もある。JLEは,学習可能な(すなわち,インプットからの肯定証拠のみに基づいて学習されうる)パラメータ化された制約は再設定できるが,学習不可能な(すなわち,肯定証拠だけでは学習できない)パラメータ化された制約は原則として再設定できないことを議論する。