- 著者
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イイ ソミン
- 出版者
- 九州大学大学院地球社会統合科学府
- 雑誌
- 地球社会統合科学研究 = Integrated sciences for global society studies
- 巻号頁・発行日
- no.8, pp.13-19, 2018
本稿は、他動性という文法的側面について考察した。他動性の研究は一般に、対象言語の文法的機能としての動詞の分析(自動詞か他動詞か、等)を通じてなされる。分析の枠組みとして、Hopper & Thompson(1980)の他動性の10のパラメータを用い、アスペクトはそのうちの一つである。本稿の目的は、同一の出来事及び行動の表現を、日本語・英語・ミャンマー語のアスペクトの視点から観察し、三言語のアスペクトの違いを解明することである。分析対象として、吉本ばななによる「キッチン」(1988)の三つの言語の作品を用いた。英語とミャンマー語のバーションは、日本語のオリジナルから翻訳されたものである。これらの作品から同一出来事を表現する部分を任意で抽出し、テリックとアテリック(完了相と未完了相)という観点で分類した。動詞のアスペクトは非常に広範な研究テーマであり、他動性研究においても重要な位置を占めている。このような意味で、本研究は、三言語におけるアスペクトの比較研究であり、他動性の研究に新たな知見をもたらたしたと言える。