著者
クーパー マルコム エアフルトクーパー パトリシア
出版者
地理科学学会
雑誌
地理科学 (ISSN:02864886)
巻号頁・発行日
vol.64, no.3, pp.127-139, 2009-07-28

観光地としての別府のイメージの影響について議論する。別府の観光については近年,大分県及び九州の地域的な課題として浮上している。別府のイメージは,国内の温泉観光に焦点をあてるとあまりに限定され,21世紀に向けて活用するには疲弊しており,ある面では実際の地域の特性からはみ出しているという懸念がある。この懸念は,大分県,特に別府で体験する観光が,新しい世紀においては通用しないと思われることである。また,焦点が限られると,より広い地域にある観光資源から興味がそれ,国内外からの観光客にとってみれば,地域の真の価値及び潜在的な価値を見落としてしまうことになる。この状態の結果として,訪問者の不満足,よくない口コミ,別府市の業績の停滞がおきてきた。日本及び九州へやってくる外国人観光客は著しく伸びてきており,当地域ではマーケティングに力を入れることが重要である。日本に入ってくる外国人観光客及び国内からの観光客に対する競争も激化しており,マーケティングの努力はより重要なものとなっている。別府は,当市及び当地域の長所について,ブランドとして再構築することが必要である。再構築に当たっては:1.他の国内外のブランドと混同してはならない。2.正しいブランドを得るためのリサーチを行わなければならない。3.持続可能な観光地を開発するには,重要な意思決定権のある人々にも共に活動してもらわなければならない。4.これまでの過程で得た知識及び根拠が脅かされる(または排除される)と感じるようなすべての利害関係者(stakeholder)を含める必要がある。5.マーケティング領域外にある問題を周知する必要がある。すなわち,ブランド事業はサービス提供者,観光業者,交通機関等からの支援が得られなければ充分ではない(最初から同じ「ブランド」に向かうように説得しなければならない)。別府が21世紀の国際市場において競争することができるように,これらの問題に対して実現可能な解決策を順を追って提案する。