著者
王 昭武 オウ ショウブ Wang Zhaowu
出版者
同志社法學會
雑誌
同志社法學 (ISSN:03877612)
巻号頁・発行日
vol.60, no.8, pp.285-374, 2009-03-31

研究ノート(Note)中止未遂の成立要件として、いかなる場合に任意性があるかという任意性の判断基準について 、様々な学説が主張され、まさに「中止犯解釈の最大の争点」でもある。本稿は、従来の判例と学説を詳細に分析したうえ、減免根拠と判断基準との整合性を保つべきであるという観点から、「新しい限定主観説を基本とする折衷説」を提唱する。具体的には、まず、ここにいう任意性は、単に行為者の自発的意思であるというだけでは足りず、中止未遂の法的趣旨の実現に寄与し、違法性または責任の減少を根拠づけられる法的意味での任意性でなければならないから、行為者が悪かったと思ってやめたという程度の「法敵対的意思の放棄」、「法益侵害回避意思」が必要である。さらに、「新しい限定主観説」に一定の限定を加える必要があり、それは、社会一般人の目から見て、「行為者本人の属する類型人」ならばその状況下で「やろうと思えばできた」と思ったであろうという程度の客観性に根拠づけられる必要もある。