著者
岡留 美穂 林 好子 中川 和秀 大野 信子 オカドメ ミホ ハヤシ ヨシコ ナカガワ カズヒデ オオノ ノブコ Miho OKADOME Yoshiko HAYASHI Kazuhide NAKAGAWA Nobuko OHNO
雑誌
和洋女子大学紀要. 家政系編
巻号頁・発行日
no.48, pp.45-54, 2008-03

1.パン生地の膨化比較 製粉方法を異にする5種類の米粉を用いてパン生地の発酵状態を比較した結果、気流式粉砕およびロール粉砕により得られた米粉において良好な発酵が見られた。これに対して高速製粉の生地は、比較的膨らみやすいが、発酵状態がやや劣るものであった。また、水挽製粉の米粉は吸水率が高く他の米粉と同一条件では生地が硬く水分が足りないようであった。石臼方式粉砕においては生地が粘土状になり、気泡が出来にくく膨らみが悪かった。2.製パン性の比較 5種類の米粉を使用して、同一条件において発酵パンを製造し、製造過程における生地の伸展性や弾力性、発酵時の膨化などについての比較を行った。また焼き上がったパンの形態、内部に生じた気泡の様子、食感などについての結果をまとめた。丸パンおよび食パン製造において、気流式粉砕およびロール粉砕の米粉生地は良く膨らみ、パンの形態や内部の気泡の状態が良好な製品となった。ふんわりと軟らかく、米粉特有のモテモテ感があるおいしいパンに仕上がった。一方、高速粉砕の米粉生地はザラザラした感触があったが、焼き上がりのパン表面は滑らかで軟らかく、丸パンのような小型パンを作るには適していると思われたが、食パンの場合は窯落ちして高さが低く、製品の形態はやや劣るものであった。また、水挽製粉の米粉生地は最も吸水するが、加水しても伸びが悪く、発酵後にガスの抜けた孔がみられ、窯落ちしてしまい、表面が硬く気泡の詰まった重量感のあるパンとなった。石臼方式粉砕の米粉生地も弾力のない粘上状になり、加水量を増やしても伸びが悪く発酵が進まないため、最も小さいパンに仕上がった。水挽製粉と石臼方式粉砕の米粉は、丸パン・食パンともに製パンに適さないと思われた。以上の結果より、パンの加工に最も適した米粉の製粉方法は、気流式粉砕とロール粉砕であった。
著者
大野 信子 岡留 美穂 李 晶 オオノ ノブコ オカドメ ミホ / Nobuko OHNO Miho OKADOME Chin LEE
雑誌
和洋女子大学紀要. 家政系編
巻号頁・発行日
vol.43, pp.203-212, 2003-03-31

リンゴ果実青カビ病菌Penicillium expansumの酵素の生産とペクチン分解酵素を精製し、酵素化学的性質を調べた。供試菌株は、ペクチンー無機塩類培地で、比較的短時間に、培養濾液の中に、ポリガラクツロナーゼを生産した。本菌株を窒素源としてリン酸アンモニウム(0.5%)、ペクチン(2.0%)含む無機塩類培地を用いて30℃において、4日間振とう培養した場合、培養液中の総ポリガラクツロナーゼの活性が最大(1.56U/ml)に達した。培養濾液中からDEAE-セルロースクロマトグラフィーで2つの活性画分(ポリガラクツロナーゼI、II)を精製した。それぞれポリガラクツロナーゼIとIIの活性の最適pHは4.8と5.5、最適温度は同じく40℃であった。両酵素とも0~40℃、pH3~7.5の範囲で安定であった。両酵素の活性は1mM Ca^<2+>、1mM Mg^<2+>によってそれぞれ約50~60%と約70~80%までに阻害された。