著者
荻原 祐二 Ogihara Yuji オギハラ ユウジ
出版者
大阪大学大学院 人間科学研究科 対人社会心理学研究室
雑誌
対人社会心理学研究 = Japanese journal of interpersonal and social psychology (ISSN:13462857)
巻号頁・発行日
no.18, pp.133-143, 2018-03

資料本研究では、中学生から60代の高齢者という幅広い年齢層を対象に、日本における自尊心の年齢差について検討した。先行研究から、日本における自尊心は児童期に高く、青年期に低下し、成人期に上昇することが示されていた。しかし、この知見は自己好意を測定する1項目の分析に基づいており、その測定の信頼性は複数項目を用いた尺度による分析と比べて相対的に低くなっている可能性があった。したがって本研究では、先行研究の知見の妥当性を高めるために、日本における幅広い年齢層を対象に自己好意を測定しており、各性別・年齢層のサンプルサイズも十分に大きい先行研究とは異なるデータを分析した。その結果、先行研究と一致して、自尊心は青年期で低く、その後成人期に上昇し続けることが示された。本研究は、自尊心が発達過程でどのように変化するかを明らかにし、相対的に介入の必要性が高い時期を示している。