著者
カムルジャマン エムディ 小倉 暢之
出版者
一般社団法人日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.73, no.627, pp.947-954, 2008-05-30
被引用文献数
2 7

バングラデシュの首都ダッカは、1970年代以降類例を殆ど見ない急激な人口増加に伴い、住宅供給が著しく不足している。そこで、本研究では、首都人口の約半分を占める下級及び中級の中所得層のための住宅問題に焦点をあて、統計資料と現地調査を基に、住宅の取得可能性とその選択肢について考察した。その結果、住宅コスト構成要素の中でも地価の占める割合が著しく、これが彼らの住宅取得を困難にしている現状が明らかになった。そして、こうした状況の中で、住宅規模、積層形態、設備及び仕上げの多様な標準の組み合わせにより、中所得層に適したコストダウンの可能性についての分析も行い、地価の高低に対応した6種の住宅モードにおいて同所得層に適した住宅タイプの選択肢を導いた。すなわち、地価が中間価格帯以下にある立地では、住宅床面積の上限を凡そ37m^2から44m^2として、設備の共有又は占有、仕上げレベルの選択等の組み合わせにより、多くの対象層に健全で多様な都市住居取得の可能性がある事を明らかにした。