著者
カーン カレク 北島 道夫
出版者
長崎大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

私どもは,これまでおよそ10年間にわたる検討から,子宮内膜症の発生および増殖・進展に関する新たな病態のひとつとしてbacterial contamination hypothesis細菌混入仮説」を提唱し発表した.子宮内膜症では非内膜症に比較して,月経血中への大腸菌混入が強く,結果として月経血中や腹水中でのエンドトキシン濃度が亢進していることが認められた.Defensinなどの抗菌性ペプチドや分泌型白血球プロテアーゼ阻害物質(secretory leukocyte protease inhibitor, SLPI)は,動物および植物に種横断的に広く存在する宿主生得免疫のメディエーターである.
著者
カーン カレク 北島 道夫
出版者
長崎大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

子宮内膜症はエストロゲン(E2)依存性の慢性炎症性疾患である.内膜症には不明な点が多く,その病態をひとつの因子で一元的に説明することは困難である.私どもは過去3年間(H21-23),内膜症でのLPSとマクロファージ(Mφ)の役割について検討を重ねてきたが,内膜症の病態を説明する仮説として,生得免疫を司るLPSとTLR4を介した「bacterial contamination hypothesis」に至った.内膜症の月経血においては,非内膜症コントロールに比して有意に大腸菌(E. coli)のコンタミネーションが多く,内膜症の月経血あるいは腹水中ではエンドトキシン(LPS)濃度が有意に高いことが認められた(Fertil Steril 2010 ; 94 : 2860-3).また, TLR4を介した内膜症の増殖では, LPSとストレス蛋白であるHsp70との分子クロストークが存在することを見いだした(7^<th> FAOPS Congress,台北, 2011).また, LPSとE2が協働的にERおよびTLR4を介してマクロファージが惹起する局所炎症を誘導することを報告した(第55回日本生殖医学会,徳島市, 2010)