- 著者
-
カーン カレク
北島 道夫
- 出版者
- 長崎大学
- 雑誌
- 基盤研究(C)
- 巻号頁・発行日
- 2009
子宮内膜症はエストロゲン(E2)依存性の慢性炎症性疾患である.内膜症には不明な点が多く,その病態をひとつの因子で一元的に説明することは困難である.私どもは過去3年間(H21-23),内膜症でのLPSとマクロファージ(Mφ)の役割について検討を重ねてきたが,内膜症の病態を説明する仮説として,生得免疫を司るLPSとTLR4を介した「bacterial contamination hypothesis」に至った.内膜症の月経血においては,非内膜症コントロールに比して有意に大腸菌(E. coli)のコンタミネーションが多く,内膜症の月経血あるいは腹水中ではエンドトキシン(LPS)濃度が有意に高いことが認められた(Fertil Steril 2010 ; 94 : 2860-3).また, TLR4を介した内膜症の増殖では, LPSとストレス蛋白であるHsp70との分子クロストークが存在することを見いだした(7^<th> FAOPS Congress,台北, 2011).また, LPSとE2が協働的にERおよびTLR4を介してマクロファージが惹起する局所炎症を誘導することを報告した(第55回日本生殖医学会,徳島市, 2010)