著者
吉田 政望 ガジェゴス ラモネト アルベルト 野口 拓
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 B (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.J106-B, no.1, pp.13-26, 2023-01-01

アドホックネットワークでは,端末が使用できる電池容量や周波数帯域などの資源が有限である.アドホックネットワークにおいてブロードキャスト通信を行う場合,これらの資源の効率的な利用が求められる.不要なパケットを削減しネットワーク資源の浪費を抑えるための技術としてネットワークコーディングがある.ネットワークコーディングのパケット削減効果はネットワークトポロジーに依存する.本論文では,アドホックネットワークにおいてネットワークコーディングを用いる場合,ネットワークコーディングを適用可能なネットワークトポロジーであるかを判定し,効率的なブロードキャストを実現する方法を提案する.提案方式では,隣接ノードの移動性に応じてパケット転送方式を通常送信若しくはネットワークコーディングの間で動的に切り替えることで,パケット配送率の低下を抑えながらネットワーク全体のパケット数を削減することができる.計算機シミュレーションによる実験を行い,通常送信及びネットワークコーディングのみの場合,確率的ネットワークコーディングの場合と比較して,提案方式は効率的なパケット配送が可能であることを明らかにした.