著者
菊地 俊夫 山本 充 キクチ トシオ ヤマモト ミツル Kikuchi Toshio Yamamoto Mitsuru
出版者
首都大学東京 大学院都市環境科学研究科 観光科学域
雑誌
観光科学研究 (ISSN:18824498)
巻号頁・発行日
no.4, pp.15-27, 2011-03-30

本論文はドイツ・バイエルン州における農家民宿に注目し,農村空間の商品化にともなうルーラルツーリズムの発展をプルーリアクティビティ(多就業形態)と関連づけながら検討した。バイエルン州では,農村の景観や農牧業,および生活文化が農家民宿の発展と相互に関連しながら維持され,それらのアトラクションの商品化を促進させることで農村観光の発展が図られてきた。農村空間の商品化は農村の景観や農牧業,および生活文化を維持することに貢献し,そのことが農家民宿や農村観光のさらなる発展につながった。バイエルン州ではプルーリアクティビティが機能し,酪農や林業,および農家民宿が行われることで,すべての土地基盤にわたって農村資源が利用されるようになり,そのことによって農村景観が維持される。農村景観は農家民宿の利用者や農村観光の訪問者のアトラクションとなり,農村空間の商品化が決定づけられた。