著者
榎本 有希 賀来 典之 六車 崇 クナウプ 絵美里 野坂 宜之 塚原 紘平
出版者
一般社団法人 日本臨床救急医学会
雑誌
日本臨床救急医学会雑誌 (ISSN:13450581)
巻号頁・発行日
vol.18, no.6, pp.723-728, 2015-12-28 (Released:2015-12-28)
参考文献数
8

目的:わが国の小児病院前救護に関する教育の実態は不明である。小児病院前救護に関する教育の課題を抽出するために本研究を行った。方法:2013年6月にわが国の消防本部を対象に小児病院前救護に関するアンケートを施行し,そのうち教育に関する部分を抽出し解析した。結果:多くの項目で小児病院前救護に関する教育の必要性は認識されていた。一方で,教育が必要量の50%以上行われている(充足している)との回答は半数未満であった。また,救命救急センターの少ない地域では,多い地域に比べて教育の充足度が有意に低い分野が複数みられた。考察:小児病院前救護に関する教育の必要性は認識されているが,十分な教育がなされていない可能性がある。教育内容を再検討のうえで,処置基準や装備デバイスと一貫性をもった,効率的なoff the job trainingを行う必要がある。
著者
クナウプ 絵美里 賀来 典之 野坂 宜之 塚原 紘平 榎本 有希 六車 崇
出版者
一般社団法人 日本臨床救急医学会
雑誌
日本臨床救急医学会雑誌 (ISSN:13450581)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.35-40, 2016-02-29 (Released:2016-02-29)
参考文献数
10

背景:病院前救護での小児への救命処置は,地域メディカルコントロール協議会(以下,MCと略す)ごとに業務プロトコールが定められている。目的・方法:小児への静脈路確保と薬剤投与の基準の調査のため,全国767消防本部の救急責任者にメールでウェブアンケートを実施した。結果:アンケート回収率は87.5%。適応年齢は,静脈路確保で「規定なし」56%,薬剤投与で「8歳以上」82%が最多であった。小児を処置の対象と回答したものの,1割の消防本部では小児には不適切な太い留置針のみが配備されていた。複数の消防本部が所属するMCのうち,静脈路確保は60%,薬剤投与は24%で年齢基準が統一されていなかった。救命救急センターが少ない地域では,8割以上が小児を薬剤投与の適応としていた。小児CPR教育への充足度は低いが需要は高かった。結論:事後検証を行う体制の整備,地域に合った年齢基準の策定と徹底,基準にあった装備と教育が必要である。