著者
ケズナジャット グレゴリー
出版者
同志社大学国文学会
雑誌
同志社国文学 (ISSN:03898717)
巻号頁・発行日
no.82, pp.104-116, 2015-03

本稿は一九五五年に発表された『陰翳禮讃』と『蓼喰ふ蟲』の英訳にいたる過程を検討する。二作における日本像は、戦後アメリカで流通した日本像と同様に一九世紀のオリエンタリズムに基づいたものであることを指摘する。また、翻訳者エドワード・サイデンステッカーと編集者ハロルド・ストラウスが定義する「翻訳に値する日本文学」を確認し、その上で当時の英訳はどのように読まれたかについて考察する。