著者
澤島 智明 ゴ ティ トゥ フェン
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.68, 2016

<b>目的 </b>近年、ベトナムでは経済成長による生活水準の向上に合わせてエアコンの所有率・所有台数が大幅に増加している。本研究はベトナムの住宅居住者の冷房実態を把握し、冷房エネルギー増加を抑制するための知見を得ることを目的とする。<br><b>方法 </b>ベトナム・ハイフォン市に建つ一戸建て住宅4件を対象に居住者へのインタビューと室温測定を行った。対象住戸4件中3件はペンシル住宅と呼ばれる住宅型式で、間口が狭く奥行きの深い3・4階建ての住宅である。他の1件は平屋建ての農家住宅が拡大する都市に取り込まれたものと思われる。インタビューは2014年8月に行い、①エアコン・扇風機の使用状況、②住戸内各空間の使用・滞在状況、③室内の暑さ・涼しさなどについて質問した。インタビュー結果から室温測定の対象空間を定め、2015年7月に10分間隔で測定を行った。<br> <b>結果 </b>インタビュー調査時のエアコン所有は4件中2件であったが、翌年の室温測定時には3件に増えており、ペンシル住宅全邸でエアコンが使用されていた。いずれも昼寝に短時間と夜間就寝時に長時間使用されていた。ベトナムでは伝統的に家族が同室で寝る習慣があり、冷房室である2階主寝室などに家族が集まって就寝していた。そのため自然室温が高い4階や3階の個室はあまり使われておらず、見方によっては効率的な冷房が行われていた。また、農家住宅は植物による遮へい効果により日中の最高気温が低く抑えられていた。