著者
研 攻一 坂倉 久美子 トギ コウイチ サカクラ クミコ Togi Kohichi Sakakura Kumiko
出版者
羽陽学園短期大学
雑誌
羽陽学園短期大学紀要 (ISSN:02873656)
巻号頁・発行日
vol.8, no.3, pp.387-399, 2009-02

介護支援専門員の立場から、家族の人間関係、特に長男の妻と姑である利用者の関係が長期的に続いた結果、在宅介護が十分行えない事例について検討した。その結果、次のような問題点が得られた。(1)Aの長男が結婚した当初から、嫁いびり(長男の嫁の教育)による確執が継続した結果、長男夫婦がAの在宅介護の責任を果たさない状況ができ、これが介護サービスを十分に機能させられない条件となっている。(2)Aの頑固な性格や金に執着する価値観などが、長男の嫁との位置関係が逆転しても、維持されていることで、状況の変化を改善することができない。(3)Aの心身の状態変化では、せん妄などは見られるが、徐々に悪くなる方向に進まない。これはAの年齢が若いからであろう。(4)ケアプラン内で、「他者と触れ合いたい」課題目標については改善がなされていない。