著者
小林 浩子 田中 ふみ子 松田 知明
出版者
羽陽学園短期大学
雑誌
羽陽学園短期大学紀要 (ISSN:02873656)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.131-141, 2016-02

本稿では、前稿に引続き、大正15年「幼稚園令」制定期から昭和戦後期までのわが国の幼稚園・保育所の成立過程と制度の変遷と山形のそれとを比較し、検証することを通して、本県の保育の特徴について検討した。その結果、全国と比較して大正末期・昭和前期・戦中期・戦後期までの幼稚園の設置数は全国に比べて低いこと、増加はほとんどみられず一定数を保ってきたこと、その一方で保育所は、農村地域の乳幼児の託児所と幼稚園機能を併せ持つ施設として地域の共稼ぎ家庭を支えてきたことなどがわかった。このような状況は、本県が独自の「幼・保一元化」の保育を全国に先駆けて実施してきたことをあらわしており、後の時代の「認定子ども園」普及への布石となったと考えられる。
著者
研 攻一 トギ コウイチ TOGI Kohichi
出版者
羽陽学園短期大学
雑誌
羽陽学園短期大学紀要 (ISSN:02873656)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.73-85, 2011-02

「良い教師像」「良い教師の条件」について、学習者の土着認識(ルバーシステム)と、3群の「良い教師の条件」の選択項目の選択型の違いよる、対立情報提示の効果について検討した。次のような結果が得られた。(1)土着の認識に関しては、金八先生やヤンクミ先生などテレビで放映されている教師像が良いと考えられていること、その条件は「生徒の側に立つ」ということが大きな理由であることが示された。また、「部活動の指導に熱心だが、教材研究などの準備を疎かにしているバレー部の先生」に対しては、「良い教師」と判定せず、「両立すべきだ」との理由を挙げている。(2)対立情報の提示の効果では、「生徒の側に立つ」群では、「生徒の側に立つ」条件群の選択率が減少し、「生徒の側に立つ+部活を熱心に指導する」群では、「部活を熱心に指導する」の選択率だけが減少した。「その他」群では、「部活を熱心に指導してくれる」「生徒の悪いところを注意してくれる」の増加が見られた。
著者
松田 知明 田中 ふみ子
出版者
羽陽学園短期大学
雑誌
羽陽学園短期大学紀要 = Bulletin of Uyo Gakuen College (ISSN:02873656)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.71-87, 2015-02-01

本研究では、青木マサが設立した「青木幼稚遊戯園」の設立沿革及び運営について検討した。その結果、青木マサが施設を運営する過程で、託児的機能とともに、教育の重要性を強く認識し、その後幼稚園と保育所を併設するという運営を行ったことを検証できた。この運営は、平成27年度から実施される「子ども・子育て支援新制度」における幼保連携型認定こども園と酷似していると考える。また、これは保育における養護の必要性と保育の教育的機能を充実させるための展開の一形態と考える。
著者
白﨑 直季
出版者
羽陽学園短期大学
雑誌
羽陽学園短期大学紀要 = Bulletin of Uyo Gakuen College = Bulletin of Uyo Gakuen College (ISSN:02873656)
巻号頁・発行日
vol.10, no.3, pp.71-75, 2017-02-01

ソナチネは長年の音楽教育の現場で重要な位置づけを担っており、私たちはピアノの学習教材としてその一部を使用している。本研究では、典型的なソナタ形式の構造を持つクレメンティのハ長調のソナチネ作品36の第1番、第1楽章を楽曲分析した。分析した結果、楽曲の楽式を理解するのに理想的な教材であり、その分析した内容を理解することで、楽曲を練習する際のアプローチの仕方や音楽の様々な側面に対する漸進的な成長につながると考えられる。
著者
白﨑 直季
出版者
羽陽学園短期大学
雑誌
羽陽学園短期大学紀要 = Bulletin of Uyo Gakuen College (ISSN:02873656)
巻号頁・発行日
vol.10, no.3, pp.71-75, 2017-02-01

ソナチネは長年の音楽教育の現場で重要な位置づけを担っており、私たちはピアノの学習教材としてその一部を使用している。本研究では、典型的なソナタ形式の構造を持つクレメンティのハ長調のソナチネ作品36の第1番、第1楽章を楽曲分析した。分析した結果、楽曲の楽式を理解するのに理想的な教材であり、その分析した内容を理解することで、楽曲を練習する際のアプローチの仕方や音楽の様々な側面に対する漸進的な成長につながると考えられる。
著者
柏倉 弘和
出版者
羽陽学園短期大学
雑誌
羽陽学園短期大学紀要 = Bulletin of Uyo Gakuen College (ISSN:02873656)
巻号頁・発行日
vol.8, no.3, pp.1-8, 2009-02-01

本稿は、群れ遊びについて、いろいろな視点から考えようとするものである。 異年齢集団(群れ)や遊びの工夫、他の遊びとの比較を通して考察を行った。特にアブラシッコを中心的視点として詳しく検討した。アブラシッコとは、群れ遊びの中で適用される特別ルールのことである。 その結果、群れ遊びは、状況に応じながらできるだけ群れのメンバーみんながおもしろく遊べるようにする、理想的な遊びであると同時に、子どもにとっては様々な力が育つ大切な場でもある、ということが明らかになった。
著者
小林 浩子 田中 ふみ子 松田 知明
出版者
羽陽学園短期大学
雑誌
羽陽学園短期大学紀要 = Bulletin of Uyo Gakuen College (ISSN:02873656)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.17-27, 2016-02-01

本稿では、前稿に引続き、大正15年「幼稚園令」制定期から昭和戦後期までのわが国の幼稚園・保育所の成立過程と制度の変遷と山形のそれとを比較し、検証することを通して、本県の保育の特徴について検討した。その結果、全国と比較して大正末期・昭和前期・戦中期・戦後期までの幼稚園の設置数は全国に比べて低いこと、増加はほとんどみられず一定数を保ってきたこと、その一方で保育所は、農村地域の乳幼児の託児所と幼稚園機能を併せ持つ施設として地域の共稼ぎ家庭を支えてきたことなどがわかった。このような状況は、本県が独自の「幼・保一元化」の保育を全国に先駆けて実施してきたことをあらわしており、後の時代の「認定子ども園」普及への布石となったと考えられる。
著者
小林 浩子
出版者
羽陽学園短期大学
雑誌
羽陽学園短期大学紀要 = Bulletin of Uyo Gakuen College (ISSN:02873656)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.31-37, 2007-02-01

本稿では、トリイ・ヘイデンのノンフィクション小説『シーラという子』の続編ともいえる作品『タイガーと呼ばれた子』を取り上げ、被虐待児に対するより良い教育方法を模索する。この作品では、小学校の特殊学級担任時代に教師として教育にかかわった、問題児であり被虐待児シーラと数年後に再会したトリイが、自らの「癒しの教育」がシーラに与えた影響の大きさと、それがトリイのクラスを卒業した後のシーラ自身に必ずしも良い影響を及ぼしてはいなかったことを、そしてさらなるトラウマを与えていたことを、ティーンエイジャーとなったシーラから指摘され、衝撃を受ける。しかしながらトリイは、そのショックを受け止め、シーラとさらに関わりを持ち続けることで、二人が抱えるトラウマを再認識し、そのトラウマを乗り越える新たな「癒しの教育」を見つけ出す。その過程を、トラウマからの「リハビリテーション」と「ハビリテーション」の違いという視点から考察する。
著者
小林 浩子
出版者
羽陽学園短期大学
雑誌
羽陽学園短期大学紀要 (ISSN:02873656)
巻号頁・発行日
vol.8, no.4, pp.419-427, 2010-02

トリイ・ヘイデンのノンフィクション小説『愛されない子』は、アルコール中毒の母親からネグレクトという虐待を受けて成長した美貌の女性ラドブルックが、彼女自身もアルコール中毒となり、自閉症の一人娘をうまく育てられず、自暴自棄な生活を送っていたさなか、トリイの担任する特殊学級に娘をあずけたことがきっかけで、ラドブルック自身もクラスに関わり、自ら虐待の連鎖を断ち切ってハビリテーションする物語である。 本稿では、虐待を受けて大人になり、みずからも虐待の連鎖に取り込まれて自暴自棄な生活を送る女性が、自らのトラウマに気付き、それを乗り越えていく過程を、トリイの特殊学級が彼女に体験させた「ハビリテーション」の教育という観点から考察する
著者
研 攻一 黒木 洋子
出版者
羽陽学園短期大学
雑誌
羽陽学園短期大学紀要 = Bulletin of Uyo Gakuen College (ISSN:02873656)
巻号頁・発行日
vol.9, no.4, pp.489-500, 2014-02-01

不登校生徒を再登校させるための、主にメンタルサポーターの立場からの援助効果を検討した。メンタルサポーターの職務は、不登校生徒の側に寄り添いながら、再登校へ向けての援助を行うことである。その結果、次のような結果が得られた。(1)不登校生徒を再登校させることについては、学校と保護者間の中継点としての役割を果たし、効果が認められた。(2)不登校を起こした、原因の根本的な治療的な側面である発達モデルに基づく解決については、その効果を果たすことができなかった。(3)不登校生徒の不登校の原因と見られる、家庭内の家族関係の問題についての情報収集などについては、十分な効果を得ることができなかった。
著者
研 攻一
出版者
羽陽学園短期大学
雑誌
羽陽学園短期大学紀要 = Bulletin of Uyo Gakuen College (ISSN:02873656)
巻号頁・発行日
vol.9, no.2, pp.59-72, 2012-02-01

学習者のルバーシステムを組み替えるための対立情報提示教示文の効果を検討した。その教示文は、学習者の事前認識の様相を予想した上で、組み替えを可能にする、即ち正反応(選択率)を高める構成法によるものである。その結果、次のことが判明した。(1) 前研究同様に、学習者は事前認識として、金八先生、ヤンクミ先生を良い教師と考え、教師条件として「生徒の側に立つ先生」が良いと考えている。 (2) 事前から事後にかけて、金八先生、ヤンクミ先生及び「生徒の側に立つ先生」の選択率は有意に減少し、「授業を分かるように教える先生」は増加した。 (3) 三好京三の教育観には、学習者は反発し抵抗を示しているが否定はしておらず、葛藤状態となっている。
著者
研 攻一
出版者
羽陽学園短期大学
雑誌
羽陽学園短期大学紀要 (ISSN:02873656)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.73-85, 2011-02

「良い教師像」「良い教師の条件」について、学習者の土着認識(ルバーシステム)と、3群の「良い教師の条件」の選択項目の選択型の違いよる、対立情報提示の効果について検討した。次のような結果が得られた。 (1)土着の認識に関しては、金八先生やヤンクミ先生などテレビで放映されている教師像が良いと考えられていること、その条件は「生徒の側に立つ」ということが大きな理由であることが示された。また、「部活動の指導に熱心だが、教材研究などの準備を疎かにしているバレー部の先生」に対しては、「良い教師」と判定せず、「両立すべきだ」との理由を挙げている。 (2)対立情報の提示の効果では、「生徒の側に立つ」群では、「生徒の側に立つ」条件群の選択率が減少し、「生徒の側に立つ+部活を熱心に指導する」群では、「部活を熱心に指導する」の選択率だけが減少した。「その他」群では、「部活を熱心に指導してくれる」「生徒の悪いところを注意してくれる」の増加が見られた。
著者
田中 ふみ子 松田 知明 小林 浩子
出版者
羽陽学園短期大学
雑誌
羽陽学園短期大学紀要 = Bulletin of Uyo Gakuen College (ISSN:02873656)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.63-70, 2015-02-01

平成27年度からこども・子育て支援新制度が実施される予定である。保育制度が大きく変わるこの時期に改めて、わが国の幼稚園・保育園の成立過程と制度の変遷と山形のそれを比較し、歴史を再検証しながら検討することを通して、本県の保育の特徴について検討した。その結果、全国と比較して明治・大正期までの山形県の幼稚園の増加率は低く、子守学級(学校)が幼児教育の多くの役割を担っていたと推察される。明治後期に青木マサが設立した施設は今日まで続いており、現在の養護施設、保育所、幼稚園を合わせたような機能を持ったものの先駆けとなったと考えられる。本県における明治期から大正期までの幼児教育は、教育的機能よりは託児的機能を持つ施設が普及した。このような成立経過は、その後、本県における幼稚園が普及する素地となったと考える。
著者
研 攻一 佐藤 由紀
出版者
羽陽学園短期大学
雑誌
羽陽学園短期大学紀要 (ISSN:02873656)
巻号頁・発行日
vol.9, no.4, pp.23-36, 2014-02

遊びの中で造形能力を育てる保育のあり方について検討した。風船を使ったダルマ作りの技術を、お化け屋敷で使う生首や火の玉作りに応用していく際の、子どもたちの遊びの質や、行動の自発性やイメージの拡大と深化の程度について検討した。その結果、次のことが得られた。(1)風船を使った基本的な技術の習得場面のダルマ作りでは、子どもたちは遊び条件を満たさずに、保育者主導の保育が展開された。その際には、行動の自発性やイメージの拡大は余り見られなかった。(2)ダルマ作りの応用場面の生首と火の玉作りでは、遊びの条件を満たし、子どもたちが自発的に意見やイメージの交換を図り、集団で新しい工夫をしてお化け屋敷で必要なものを作りだした。(3)具体的な目標(生首や火の玉)が遊びの中で設定されると、子どもたちの自発性やイメージの拡大が促進されることが見られた。
著者
研 攻一 坂倉 久美子
出版者
羽陽学園短期大学
雑誌
羽陽学園短期大学紀要 = Bulletin of Uyo Gakuen College (ISSN:02873656)
巻号頁・発行日
vol.8, no.4, pp.99-109, 2010-02-01

介護支援専門員の立場から扱った、地域から孤立がちでしかも老老介護のケースである。ケースを担当する半年前に、民生委員らから地域包括センターに、A(妻)の姿を見かけないから見て欲しいとの依頼があった。その時の訪問では係が玄関先で追い返され、半年後に長男から訪問入浴の介護サービスの申請が出たケースである。 このケースから、以下のような問題点が浮かび上がってきた。 (1)孤立しがちな家族に、介護サービスの受け入れや介護保険制度がどのようなものかについての認識を、どのように理解させられるか。 (2)介護サービスを受けることに抵抗する(金銭的なこと)夫をどう説得させ納得させられるか。 (3)家族関係の中で、誰を相談業務の対象としたら良いか。
著者
斉藤 葉子 大木 みどり
出版者
羽陽学園短期大学
雑誌
羽陽学園短期大学紀要 (ISSN:02873656)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.1-14, 2011-02

本研究Ⅶでは、「実習の事前・事後指導に関する研究Ⅵ」において、責任実習における保育実践で、約5割の学生が問題と捉えている「導入」について、その実態を探り、問題と課題を検討するために、2年次学生に対しアンケート調査を行った。 結果は以下の通りである。1.責任実習の内容は、制作活動が約6割を占めていた。集団遊び・運動遊び・表現遊びは約3割である。2.導入の内容は、「見本や作品の提示・関連した話・手遊び・紙芝居の読み聞かせ」の四つの内容の合計が107件で、全体の約7割となっている。3.幼児の遊びは本来主体的で、自発的であることが求められる。幼児の遊びを自発的、主体的な活動へ導くためには、意欲を掻き立て取り組むことができるような働きかけ「導入」を行っていく必要がある。4.手遊びは、保育実践する者の意識・視点を幼児の世界に近づけ、導入において新しい遊びの世界を広げる役割を果たしている。
著者
研 攻一 佐藤 由紀 トギ コウイチ サトウ ユキ TOGI Kohichi SATO Yuki
出版者
羽陽学園短期大学
雑誌
羽陽学園短期大学紀要 (ISSN:02873656)
巻号頁・発行日
vol.9, no.4, pp.23-36, 2014-02

遊びの中で造形能力を育てる保育のあり方について検討した。風船を使ったダルマ作りの技術を、お化け屋敷で使う生首や火の玉作りに応用していく際の、子どもたちの遊びの質や、行動の自発性やイメージの拡大と深化の程度について検討した。その結果、次のことが得られた。(1)風船を使った基本的な技術の習得場面のダルマ作りでは、子どもたちは遊び条件を満たさずに、保育者主導の保育が展開された。その際には、行動の自発性やイメージの拡大は余り見られなかった。(2)ダルマ作りの応用場面の生首と火の玉作りでは、遊びの条件を満たし、子どもたちが自発的に意見やイメージの交換を図り、集団で新しい工夫をしてお化け屋敷で必要なものを作りだした。(3)具体的な目標(生首や火の玉)が遊びの中で設定されると、子どもたちの自発性やイメージの拡大が促進されることが見られた。
著者
研 攻一 坂倉 久美子 トギ コウイチ サカクラ クミコ Togi Kohichi Sakakura Kumiko
出版者
羽陽学園短期大学
雑誌
羽陽学園短期大学紀要 (ISSN:02873656)
巻号頁・発行日
vol.8, no.3, pp.387-399, 2009-02

介護支援専門員の立場から、家族の人間関係、特に長男の妻と姑である利用者の関係が長期的に続いた結果、在宅介護が十分行えない事例について検討した。その結果、次のような問題点が得られた。(1)Aの長男が結婚した当初から、嫁いびり(長男の嫁の教育)による確執が継続した結果、長男夫婦がAの在宅介護の責任を果たさない状況ができ、これが介護サービスを十分に機能させられない条件となっている。(2)Aの頑固な性格や金に執着する価値観などが、長男の嫁との位置関係が逆転しても、維持されていることで、状況の変化を改善することができない。(3)Aの心身の状態変化では、せん妄などは見られるが、徐々に悪くなる方向に進まない。これはAの年齢が若いからであろう。(4)ケアプラン内で、「他者と触れ合いたい」課題目標については改善がなされていない。