著者
瓜谷 郁三 バイロン グレイシア L サモンテ ジョセフ L アルバレ アンへリーナ M アルマリオ メリーアン R フローレス ドゥルセ M メンドーサ エヴェリンメイ T ガルシア バーヒリオ V
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.37, no.9, pp.730-736, 1990

バナナつぼみ中のポリフェノール成分は主要成分としてフラバナンタンニン(縮合型タンニン),副次成分としてカテキン,そのオリゴマー,ドパミン及びドパから成っていた.数品種のつぼみのうち,調理用バナナである'サバ'品種のつぼみにおいて,フェノール全量やバニリン陽性フェノール量は最も少なかった.ポリフェノールオキシダーゼ(PPO)活性の品種間差異は著しくはないが,つぼみ中の部位による差は顕著であり,又その活性は果実の場合よりもかなり大きかった.つぼみのPPO活性は, 0.13M食塩で約20%抑制された.なおフィリピンにおいて,'サバ'品種つぼみを加熱・調理する際に,その薄片に約10%(1kg当り約1.71M)の食塩を加え,汁液をしぼりとるが,これは食塩によりPPO活性を抑制して加熱後の色を鮮やかな淡赤色にするためであり,他には食塩添加により膨圧を失わせ,渋味・苦味の原因となるポリフェノ―ルを除くためであることが分かった.他の品種の場合には,食塩添加,搾汁,加熱によっても渋味・苦味は十分に除去されなかった.